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「家を一気に押し流した」 五條の上田さん、豪雨記録自費出版


 平成23年9月に発生した紀伊半島豪雨災害から4年。7人が亡くなり、4人が今も行方不明の五條市大塔町で当時、連合自治会長を務めていた上田史孝さん(69)が、当時の状況や避難生活での苦労などをつづった「自然災害の実態と教訓」を自費出版した。上田さんは「災害を後世に伝え、被害を防ぐための参考になれば」と話している。

紀伊半島豪雨災害の記録を自費出版した上田史孝さん=五條市大塔町

紀伊半島豪雨災害の記録を自費出版した上田史孝さん=五條市大塔町

 当時、地元の宇井地区の自治会長も務めていた上田さん。災害発生直後から、現場の様子をできる限り写真撮影していたほか、被災状況や避難生活などさまざまな事柄をノートにメモしていた。今回、「身近に起こった災害を風化させてはいけない」と改めてメモなどを整理。さまざまなデータも集め、市などから借りた写真も加えて記録にまとめた。

 4年前の9月4日。山の斜面で大規模崩壊が発生し、宇井地区を川の水が津波のように襲い、多くの建物が流された。地区を見回っていた上田さんは、避難所から集落に戻ってきた住民が山すそから黒い水が噴き出しているのを見て「あかん、あかん」と言うのを聞き、すぐにその場を離れた。地区の高齢者を避難所に送り届け、自宅に戻って玄関に入ろうとしたとき、「ゴォー、ドドーッ」という音がして、川の対岸の斜面が崩落したという。

  「対岸の斜面の木が揺れ動きだしたと思ったら、木が立ったまま対岸から押し流されてきた。水煙で真っ白、集会所も家も流されてなくなり、『ええっ』という声しかでなかった」と振り返る。

  大規模崩落から1時間10分後。崩れ落ちた土砂が川をせき止めたことで、高さ25㍍ほどになっていたという「土砂ダム」が、ついに決壊。記録には「溜まっていた水は凄まじい勢いで右岸側を浸食しながら川原に散乱していた流木や家屋の残骸をいっきに押し流していった」と記されている。

 大規模崩壊直前の「黒い水」を目撃した住民や、宇井地区の対岸の住民らが「根が切れるような音」を聞いていたという証言も記されており、「後から考えると、(土砂崩れの前兆と言われている)まさにその状況だった。もう少しでもそこにいたら、私自身、(この記録を)書きとめることが出来なかったかも知れない」としている。

 避難所での食料や水の確保、情報の一本化など、苦労した事柄も記録。教訓として「自然災害は何時、どこで発生するか分からない」「自分の命は自分で守るという意識が必要」とし、「日頃から地域住民を巻き込んでの避難訓練、避難場所や避難経路の確認、家族との連絡方法、非常持ち出し品の整理など家族で話し合っておくことが大切」と指摘している。出版した200部は関係先に配布。五條市立図書館で閲覧できる。

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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