目撃32件、14年度以降最多 クマ出没に注意! 野迫川では55歳男性けが
奈良県南部の山間地域でクマの目撃情報が相次いでいる。今年度は10月末までに32件の目撃報告があり、統計を取り始めた平成14年度以降、最多を記録している。夏場から冬眠前の11月まで、出没が増える傾向にあるといい、県が注意を呼びかけている。
10月17日、野迫川村池津川の山林で、キノコ狩りをしていた男性(55)が成獣のツキノワグマに遭遇した。男性は護身用に持っていた金属バットでクマを撃退したが、左手の親指や右腕をかまれ、けがをした。
また、今月7日午前6時半ごろ、御杖村土屋原の民有林で、管理人の男性が成獣のクマを目撃した。男性にけがはなかったが、県職員らが調査したところ、周辺からツキノワグマのものとみられるふんや、捕食した可能性があるニホンジカの死骸が見つかったという。
奈良県農業水産振興課のまとめでは、県内のクマの目撃情報は、24年度24件▽25年度31件▽26年度28件▽27年度24件―と推移している。
今年度10月末までのクマの地域別出没件数は、十津川村12件▽上北山村11件▽野迫川村7件▽川上村1件▽天川村1件―となっている。
ツキノワグマは県の絶滅寸前種に指定されており、現在の県内の推定生息数は100~250頭。県は14年に保護管理計画を策定し、ツキノワグマが恒常的に生息している吉野郡を中心に、「保護管理重点地域」を指定。狩猟による捕獲の禁止や、保護に努めているという。一方で、御杖村など、重点地域以外で目撃されるケースも増えているという。