【近畿の警察官】生活環境課の奥村嘉章巡査部長(53) 24日に大阪で表彰式
「上司や同僚のお陰。より一層頑張らないと」。優秀な警察官を表彰する「近畿の警察官」(産経新聞社提唱・奈良県信用金庫協会協賛)を受賞した県警本部生活安全部生活環境課の奥村嘉章(よしふみ)巡査部長(53)は感謝の思いを述べ、更なる奮起を誓った。24日に大阪市のエルセラーンホールで、ほかの近畿5府県の警察官とともに表彰される。 (森西勇太)
平成17年に五條市に編入された大塔村出身。高校卒業後の進路を考えていたとき、林業の父親から「田舎に残ることを考えるな。外へ出て社会を見ろ」とアドバイスを受けた。小学生のころから剣道を習い、近くの駐在所に勤務する制服姿の警察官に憧れていたことから、警察官を志望した。
勤続35年のうち21年余りを生活安全部門の捜査に従事し、持ち前の正義感と粘り強さを発揮してきた。
22年の暴力団幹部による拳銃所持事件はそんな粘りの突き上げ捜査が実を結んだ。また、今年6月、奈良市月ヶ瀬の山林での違法土地掘削事件解決は記憶に新しい。「事件が起これば今も若手のように一番に席を立ってしまう」。数々の難事件解決のカギはこの腰の軽さにある。
ただ、順風満帆でもなかった。「最初は楽しくなかった」。捜査に携わるようになった当初は取り調べの難しさなどで悩む日々が続いた。辞めたいと思ったこともあった。それでも「必死だった」と振り返るほど根気強く取り組んだ。そこには、喜びの出来事もあったからだ。
いじめによる中学同級生傷害事件では泣きながら息子の相談に訪れていた被害者の母親から後日、「休日に一緒に食事するほど同級生と仲良くなった」と書いた手紙が届いた。気にかけていた非行少年が中学卒業時に「土木建設業に就職します」と父親と一緒に挨拶に来てくれたこともあった。「頼りにしてくれていたんだ」と知り、喜びとともにやりがいを感じた。
事件に臨む際は「被害者の思いを胸に刻み込む」が信条。柔和な笑顔からは想像できない熱い心を持ち、「退職まで今の仕事ができたら、最高の警察官人生」と言い切った。