【愛和会不正事件】県が社会福祉法人を特別監査
奈良県田原本町の社会福祉法人「愛和会」が偽の領収書を提出したとして同法人の元理事長らが逮捕された事件を受け、県が社会福祉法に基づく特別監査を行ったことが1日、関係者への取材で分かった。
同法は、不祥事を起こした社会福祉法人に対し、監督する行政機関が財産状況や帳簿、書類などを立ち入り検査すると定めている。監査の結果、法令違反などが判明すれば、行政機関が改善措置を勧告する。
事件では、法人の元理事長、森和俊容疑者(69)らが、町から委託された平成27年度の地域子育て支援拠点事業で偽の領収書を提出したとして、有印私文書偽造・同行使容疑で11月20日に県警に逮捕された。
県によると、この事業の総事業費は約800万円で、国、県、田原本町が各3分の1(約265万円)を負担。国と県はそれぞれ町に補助金として交付し、町が事業の実施主体として、法人に事業を委託していた。
■森町長「信頼回復に努める」 第三者委、年内発足へ
田原本町の森章浩町長は1日、開会した12月定例町議会の冒頭で社会福祉法人「愛和会」による領収書偽造事件について言及し、「深くおわび申し上げる。なぜこのようなことが起きたのかしっかりと調査し、透明性と公平性を持って町政を運営し、信頼回復に努める」と述べた。
事件で逮捕された法人元理事長、森和俊容疑者は、森町長の実父。町によると、町は事件の経緯などを調査するため、第三者委員会を設置する条例案を議会の最終日(8日)に提案。年内にも第三者委を発足させたい考えだ。
第三者委は公募を含む学識経験者など約5人で構成され、愛和会を含めた外部団体への公金支出の内容や適性を調査する予定。