奈良伊賀地域で産経新聞の購読試読・求人案内。

産経新聞 奈良県伊賀地区専売会産経新聞 奈良県伊賀地区専売会

産経新聞グループ各紙のご購読はこちら 0742-24-2214

専売会について専売会について各専売店の紹介各専売店の紹介地域貢献地域貢献求人内容求人内容購読・試読サービス購読・試読サービス

sanbai-02.jpg

【過労自殺】誰にでも起こりうること 判断力失い「楽になりたい」


過労自殺の経験を振り返る男性

過労自殺の経験を振り返る男性

電通の新人女性社員が過労で命を絶ってから、25日で1年になる。厚生労働省が今年初めて作成した「過労死等防止対策白書」によると、昨年度に労災認定された過労自殺は未遂を含め93件に上った。安倍晋三首相が長時間労働の是正に全力を挙げる意向を表明するなど、国も社会問題として対策を進めるが、一方で「過労自殺は弱い人間のすること」という認識も根強い。だが過去に過労から自殺を図った男性は「誰にでも起こりうること」と強調する。日本精神神経科診療所協会会長で精神科医の渡辺洋一郎氏も「疲労困憊に陥れば精神状態が鬱になるのは当然」として、不調が表れた場合の早期受診を呼びかける。  (藤井沙織)

「心身ともに強いと思っていた自分でも追い込まれた」と話すのは地方放送局で報道記者だった男性(48)。激務に追われた約20年前に自殺を図った。一命を取り留め、今は報道の現場を離れているが、部下が同じ状況にならないよう「現場をフォローできる管理職になりたい」と話す。
   ■失われた判断力
29歳の夏の金曜の夜。「死ねば楽になれる」とふと浮かんだ思いは、確固たる決意になった。
週末に実家で両親と食事をし、1人暮らしのマンションに帰ってから掃除をした。週明けの月曜日、ビニールひもを何重にも巻いて玄関上部の金具にくくり付け、脚立に上った。

「お父さんお母さん、ごめんなさい」。涙がこぼれた。職場からの連絡で家族に発見されたのは数時間後。ひもを何重にもしたことで首にかかる重さが分散され一命を取り留めた。
意識が戻ったときには「死ねなかったんだ」という思いがよぎったが、号泣する家族の姿を見て、ばかなことをしたと後悔した。残される家族の思いすら考えられなくなっていた。
■「やりがい」あった
望んで入った会社だったし、上司にも頼られ、やりがいも感じていたという。だが朝方まで働く日々が続き、次第に疲れ果てていった。「事故にあってけがをしたら休める」とすら考えるようになった。
自殺を図る前の数日間は、任された仕事で思うような成果を出せない中、「自分がやらないと仕事が進まない」と自分を追い込んでいた。しかし、自殺未遂後の1カ月の入院中、自分がいなくても職場は機能していた。寂しさは感じたが、「あんなに頑張らなくても良かったな」と思えた。
   ■経験を生かして
報道の現場に復帰後は過労自殺に関する取材を進めながら、講演会で「重要なのは管理職による現場の指揮」と過労自殺の防止を訴えてきた。「仕事を一人に背負わせない。行き詰まっている部下は休ませる。周囲が必要なフォローをするだけで、人は追い詰められずに済む」
8年前、激務に見舞われ鬱症状を再発した。家族と自分のため、「生きがい」ともいえる報道の現場を離れ、総務の仕事を選んだ。今では現場を支える裏方にやりがいを感じている。「この仕事をきわめ、現場をフォローできるいい管理職になりたい」

「強い使命感」共通 薄れる「支え合い」

「自分がやらないと仕事が進まない」と考えていた元報道記者の男性のように、過労自殺に至る人の共通点を「強い使命感を感じて限界を超える仕事に取り組み、疲労をため込む」と渡辺氏は指摘する。未然防止には、「互いに助け合える職場環境が必要」とする。
渡辺氏によれば、上司や同僚と支え合える関係にあれば、仕事を一人で抱えず相談でき、周囲も精神的な不調に気付けるが、近年は個人主義の影響で、こうした風土が薄れているという。
過労で鬱病を発症した場合、「この状況から逃げたい」と衝動的に自殺に至るケースが多い。渡辺氏は、「疲れているのに眠れず、好きなことが楽しめないという状況は危険。直ちに病院に行ってほしい」と訴える。
このほか、過労自殺では時間外労働の長さばかりが取り上げられるが、渡辺氏は「業務として必要な時間だと納得できなければ、基準以下の労働時間でも強いストレスを受ける」とし、時間の長さだけでなく、質も不調を倍増させる大きな要素と指摘している。

心境や対処法、漫画に ツイッター投稿に反響

%e9%81%8e%e5%8a%b4%e8%87%aa%e6%ae%ba%e3%83%bb%e3%82%a4%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%83%88電通社員の過労自殺を受けてフリーのイラストレーター、汐街コナさんがツイッターに投稿した漫画が反響を呼んでいる。
過去に「うっかり自殺しかけた」という汐街さんは、「死ぬくらいなら辞めればいい」という声に、「自殺への道は、本人の意思と関係なくつながってしまう」と主張する。
漫画では自殺に至るまでの心境や対処法のほか、自身が過労に苦しむ中で周りから掛けられた「目を覚ましてくれた言葉」を紹介している。汐街さんは「漫画を読んで、こういうこともあるんだと頭の片隅に入れてほしい」と話している。(産経WESTで全編を掲載)

求人情報求人情報
購読・試読のお申込み購読・試読のお申込み
お問い合わせお問い合わせ

産経新聞各紙
産経新聞産経新聞
サンスポサンスポ
Business iBusiness i
夕刊フジ夕刊フジ

グループ各紙
月刊TVnavi月刊TVnavi
MOSTLYMOSTLY
正論正論
週刊ギャロップ週刊ギャロップ

産経でんき産経でんき


読もうよ新聞読もうよ新聞

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。