奈良伊賀地域で産経新聞の購読試読・求人案内。

産経新聞 奈良県伊賀地区専売会産経新聞 奈良県伊賀地区専売会

産経新聞グループ各紙のご購読はこちら 0742-24-2214

専売会について専売会について各専売店の紹介各専売店の紹介地域貢献地域貢献求人内容求人内容購読・試読サービス購読・試読サービス

sanbai-02.jpg

【なら正月記 五】 雌雄一体 天焦がす炎  五穀豊穣願い千数百年


炎を上げて燃え上がる茅原のトンド(平成24年、御所市教委提供)

炎を上げて燃え上がる茅原のトンド(平成24年、御所市教委提供)

境内の闇に沈む高さ6㍍を超える雌雄一対のトンド(大松明)。灯明の火を受けた火付け役が雄、雌の順に点火すると、各先端のカヤ飾りがパチパチと音をたて、一気に燃え上がる。
役行者の生誕地と伝わる奈良県御所市茅原(ちはら)の吉祥草寺で毎年、1月14日夜に行われる「茅原のトンド」(左義長)。トンドを囲む修験者が唱える般若心経と、境内を埋める住民らの歓声に勢いづけられるように火は燃え盛り、最高潮に達する。
トンドとも呼ばれる「左義長」は全国各地で小正月に行われ、書き初めや正月飾りが焼かれる火祭り行事。茅原のトンドは最大級といわれ、すさまじい迫力だ。千数百年の歴史があり、修験道の開祖として崇められる役行者の生誕地にふさわしい火祭りといえる。
□  □
左義長とは本来、どんな行事なのだろう。
「国史大辞典」などによると、遊びに使われた毬杖という杖を焼いたのが起源らしく、中世以降盛んになった。宮中では書などが焼かれ、左義長、トンドは次第に民間にも広まったという。
「民間のトンドは正月に迎えた歳神様を送り返す行事だが、茅原のトンドは違った意味もあるようです」
御所市教委文化財課技師の金澤雄太さん(30)はこう説明する。
茅原のトンドは全国の左義長の中でも特異な存在で、飛鳥時代に役行者が天下太平や五穀豊穣を願って始めたといわれる。文武天皇が病気になった際、吉祥草寺で祈願すると治ったため法要を営んだのが起源とする伝説も。修験道の「採燈護摩」や仏教の正月行事「修正会」が影響し、豪壮な火祭り行事になったと考えられるという。
トンドが雌雄一対になっているのも全国的に珍しく、金澤さんは「雌雄のトンドが燃える速さを競い、1年の豊凶を占う年占いの要素もある。一般的な神送りの祭りではない複雑な様相が見られる」と指摘する。
□ □
茅原のトンドを見に行くと、トンドが朝顔の花のように上に向かって広がる形をしているのも目を引く。
行事を現在担うのは、地元の茅原、玉手両地区。雄のトンドは玉手区民が、雌は茅原区民が作る。本体を包み込む竹の扇や芯になる柴、ワラやカヤの飾り、本体に巻き付ける鉢巻(しめ縄)を作るため、古来の技術が必要だ。
茅原区長で吉祥草寺左義長大トンド保存会長でもある北谷敦美さん(75)は「トンドをやるには資材集めから始まり、1年がかり。年がら年中、準備している」という。
トンドをたてるための松杭やワラ、カヤ、竹などの調達から始めなければならない。年明け早々の3日には両区の総会で奉納することを確認。6日に両地区の役員が節会の打ち合わせをし、翌日から茅原区の女性たちが浄財集めを行う。
「自分たちの代で途絶えさせることはできない。きちんと後世に伝えないといけない」と北谷さん。
そんな人たちが守ってきた茅原のトンドは、今年で1316回目を数えるという。   (山本岳夫)

 茅原のトンド 国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択され、県指定無形民俗文化財に指定されている。1月14日午後7時50分ごろ、新賀橋があった場所で地区役員が「手打ち」をした後、行列を組んで吉祥草寺へ。同8時ごろ、寺入り口で再び手打ちをして境内に入り、本堂前で3回目の手打ち式を行った後、本堂に入堂。御符の授与を受け、同8時半ごろに灯明から受けた火で点火する。

「なら正月記」おわり

求人情報求人情報
購読・試読のお申込み購読・試読のお申込み
お問い合わせお問い合わせ

産経新聞各紙
産経新聞産経新聞
サンスポサンスポ
Business iBusiness i
夕刊フジ夕刊フジ

グループ各紙
月刊TVnavi月刊TVnavi
MOSTLYMOSTLY
正論正論
週刊ギャロップ週刊ギャロップ

産経でんき産経でんき


読もうよ新聞読もうよ新聞

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。