【やまと人巡り】 シカ理解し、獣医の後継者を 鹿愛護会事務局長、吉岡豊さん(69)
2017年03月6日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
「獣医がいないのなら俺が行く」。吉岡豊さん(69)はそういって一般財団法人奈良の鹿愛護会の獣医となった。
天理市生まれで奈良市に移った中学生のころからシカに親しんできた。獣医として奈良県庁に勤めた後、愛護会から獣医がいなくなってしまうことを知り、愛護会の獣医となった。
「もっとシカを理解してもらって、次の代、その次の代へと伝えていってほしい」。この思いで2年前からは事務局長も務め、子供を対象にしたシカとの触れ合いの場作りに取り組む。施設「鹿苑」の大幅改修も計画している。心配なのは獣医の後継者がいないこと。「いつまでも自分がやるわけにはいかないのでね」。その目は遠くを見詰めていた。 (栗)