【やまと人巡り】 「大和茶のよさ伝えたい」 月ヶ瀬健康茶園代表、岩田文明さん(42)
2017年03月17日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
「月ケ瀬の山、川、自然。茶園を囲む環境が大好き」。朴訥とした口調で茶園の魅力を語るのは月ケ瀬健康茶園代表の岩田文明さん(42)。茶園で農薬、化学肥料を使わない有機栽培を続ける。
奈良県北東部の「大和高原」はその冷涼な気候から300年以上前から茶栽培が盛んだった。「大和茶」と呼ばれる奈良の名産品で、実家は明治から続く茶農家だ。
就農のきっかけは大阪の食品卸会社でのサラリーマン時代。研修でドイツへ渡り、現地の紅茶のおいしさに感銘を受けた。実家も周りも緑茶農家がほとんどだったが「『茶農家だから緑茶』ではなく、紅茶を作れないか」と26歳で月ケ瀬へ戻り、紅茶を育て始めた。
8㌶の茶園は家族やスタッフら10人ほどで運営する。紅茶のほか煎茶、ほうじ茶などの茶は生産から加工、販売まで全て茶園で行う。栽培も「化学肥料は茶の味に影響を与えてしまう」と落ち葉や雑草、粉砕した笹のチップを茶畑に敷き詰め肥料にしている。日当たりが悪ければ山を手入れし、「茶の育つ環境を作ってあげる」ことを第一に考える。
「奈良で生まれ育った。だから、大和茶のよさを伝えることが使命」と今は初夏の収穫に向け、茶園を駆け回っている。 (啓)