【榊莫山と紫舟のシンフォニー①】 榊莫山 「東大寺ノ松林(大和八景)」
2017年04月21日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
天平ノ甍ニ淡キスイカズラ 千古ノ夢ヲ明ケニマドロム
榊莫山(1926~2010年)は三重県の伊賀で育ち、伊賀と近い大和の自然・寺院などに若い頃から親しみました。
中国では「瀟湘八景」が画題とされ、日本でも「近江八景」や「南都八景」が選ばれたように、榊は大和(奈良県)の中から八景を選び、画と書による作品を制作しました。
その内の一点が「東大寺ノ松林」です。榊は、古い松などの自然が残る東大寺一帯の風景にゆったりした気分と仏の息づかいを感じていました。この作品では、東大寺の松の勢いが盛んであった頃を再現し、講堂跡の先に大仏殿の背面を望む風景を水墨主体で描いています。その上で、自作の一文を添えて、天平以来の時の流れを表しています。 (奈良県立美術館学芸課 稲畑ルミ子)
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「榊莫山と紫舟のシンフォニー(交響)」は奈良とゆかりが深い2人の書家、榊莫山と紫舟の独創的な作品により、書の芸術性や魅力を感じていただく展覧会です。いくつかの作品を順次紹介します。