【榊莫山と紫舟のシンフォニー④】 紫舟「おはよう ありがとう ごめんなさい」 書を芸術として味わってほしい
2017年04月21日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
紫舟は今最も活躍している若手書道家の一人です。新聞・雑誌連載、テレビ番組の題字、会議・企画のロゴ制作なども積極的に手がけています。
書家としての第一歩を踏み出した奈良での活動も多く、昨年11月に完了した春日大社の第60次式年造替では、紫舟筆「祝御造替」の文字が幟となり、パンフレットなどの印刷物にも掲載されました。このほか、昨年の「奈良県大芸術祭」や「東アジア文化都市2016奈良市」にも作品を発表しました。
紫舟は書の国際性について考え、漢字や仮名の意味がわからない人にも通用する書を制作しようとしています。その1つが書の彫刻です。亀甲・獣骨に文字を刻んだ殷代の甲骨文字のように、書が古くから彫刻の要素を持っていたことに着目し、書を鉄の彫刻にしました。これに光を当てると背後の壁などに影が映し出されます。
太い・細い、力強い・弱いなど、書の彫刻本体の造形を反映する影を含めて鑑賞することで、文字の意味がわからない人でも書を芸術として味わうことができるのではないか、ということを紫舟は述べています。 (県立美術館学芸課 稲畑ルミ子)