【やまと人巡り】 「ホッと笑顔になる作品を…」 彫刻家、杉村仁さん
2017年06月1日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
「毎日創るのが楽しい。創らないと居ても立ってもいられない」
彫刻家の杉村仁さん(62)=奈良市=は、あふれ出る創作意欲を生き生きと語る。
彫刻家だった父親の背中を見て育ち、幼いころから彫刻の道を志した。石を使った作品が多く、ネコをかたどった彫刻や、子供が描かれた石のベンチなど、これまでに制作した作品は約500点に上る。
現在、県立高円高校(奈良市)で美術科の非常勤講師を務める。同校校舎の壁面を飾る壁画彫刻「手から手へ」も、自身の作品だ。日食で黒く欠けた太陽と、そこに向かって伸びる大きな手が描かれている。周囲の県立高が統合再編で減っていく変化の時代に、同校の伝統と文化がこの先も受け継がれていくようにとの願いを込めた。
作品は公園や歩道沿いなど街中に設置されたものも多く、親しみを感じながら鑑賞したり、触れたりすることができる。芸術家という言葉からイメージする気むずかしさはない。その信条は温かい。
「性別や国籍、年齢に関係なく、誰もがほっと一息つけたり、思わず笑顔になってくれたりする。そんな作品を心がけています」 (藤)