【路線価】 7年連続下落幅縮小 都市部と南部地域との差、ますます鮮明に
3日付で公表された平成29年分の奈良県内の路線価は、対前年の平均増減率はマイナス0・4%で9年連続の下落となったものの、7年連続で下落幅は縮小した。税務署ごとの最高路線価は奈良、葛城の2税務署管内で上昇したが、県南部では横ばいか下落しており、都市部と南部地域との差がますます鮮明になっている。
県内の最高路線価は、奈良税務署管内の奈良近鉄ビル前の大宮通り(奈良市東向中町)の56万円で、34年連続で最高。対前年の上昇率は3・7%だった。マンションやホテル、店舗ビルなど用途の多様化が進んでいることや、観光客の増加が上昇の要因とみられる。
葛城税務署管内の最高路線価は、近鉄大和八木駅前南通(橿原市内膳町)で26万5千円。近鉄大阪線と橿原線の結節点で、駅南側にはホテルなどが入る新庁舎(複合施設)が平成30年2月に完成予定。今後、新庁舎オープンによる波及効果が期待されている。
前年と横ばいだったのは桜井税務署管内。近鉄桜井駅前の桜井駅北口線(桜井市川合)で、11万5千円だった。市役所など行政機関の玄関口で、幹線道路沿いへの商業施設の新規出店はあるものの、人口減少や高齢化率が高いことが横ばいの一因とみられる。
一方、10年以上下落が続いているのは吉野税務署管内で、最高路線価は近鉄下市口駅前(大淀町下渕)の4万5千円(マイナス2・2%)。林業の衰退とともに人口減少や高齢化の進行が顕著で、今後も下落傾向が続く見込みという。
路線価は、主要道路に面した1平方㍍あたりの土地の評価額。土地の相続や贈与を受けた人の税額を算出する基準となる。