【夏の甲子園】 〈熱球譜〉 「天国の祖父に打たせてもらった」 安原健人一塁手
2017年08月23日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
「天国のおじいちゃんにお願いして打席に入りました」。七回の第4打席、低めのカーブを振り抜いた打球は左翼席に飛び込んだ。大会通算1500本目となったメモリアルアーチは、誰よりも野球での活躍を喜んでくれた祖父、西村明さんに打たせてもらったと確信している。
野球が好きで甲子園にもよく通っていた明さんは、厳しくもあったが、活躍を耳にするたび、「そうか、そうか」と目に涙を浮かべながら喜んでくれた。そんな明さんが、県大会開幕を前にした6月、77歳で他界。「甲子園でプレーする姿を見せられないのが本当に悲しかった」。
県大会では「おじいちゃんのために」と書いた帽子をかぶり、甲子園では祖父の写真をポケットに忍ばせてきた。この日も打席に入る前に祖父の写真を胸に当て、思いを込めた。
「天国のおじいちゃんも本当に喜んでくれたと思う」。準々決勝の大会号とともに、2つのホームランボールは祖父の仏前に供えることにしている。 (桑村大)