【くらしと税】 医療費控除② セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、きちんと健康診断などを受けている人が、一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられる制度です。
軽度な身体の不調を市販薬によって自ら手当てすることは、自身のQOL(生活の質)の改善に役立ちます。また、国の財政を圧迫する医療費の適正化にもつながります。
具体的には、市販薬(要指導医薬品および一般用医薬品)のうち医療用から転用された特定成分を含む医薬品を年間1万2千円を超えて購入した際、超えた金額(上限金額8万8千円)について所得控除を受けることができます。
この制度は医療費控除の特例であるため、従来の医療費控除制度と同時に利用することはできません。10万円を超えた医療費の所得控除を受けるか、このセルフメディケーション税制で所得控除を受けるかは、申告者自らが選択することになります。
対象は、所得税や住民税を納めていて、特定健康診査(メタボ健診)、予防接種、定期健康診断(事業主健診)、健康診査、がん検診のいずれかを受けている人です。対象医薬品は、厚生労働省のWebサイトに掲載されている医薬品(平成29年12月28日現在、1671品目)です。
では、実際にどれくらい税金が安くなるのか。例えば総所得金額400万円の会社員が自身や生計が同じ家族のために対象医薬品を年間5万円購入した場合。5万円から1万2千円を差し引いた3万8千円が医療費控除額となり、課税所得が3万8千円分少なくなるので「3万8千円×税率」分の税金が安くなります。税率が10%とすると、税金が3800円安くなるほか、住民税も軽減されます。