【障害者雇用水増し問題】県教委、54人の手帳確認せず 法定雇用率下回る
障害者雇用の水増し問題で、県教育委員会は、今年6月1日時点で雇用していると報告した128人のうち、54人で障害者手帳などを確認できなかったと発表した。雇用率は従来の2・43%から1・53%に減り、法定雇用率(2・4%)を下回った。本人の同意のないまま障害者と認定していたケースや、退職者を算入していた事例もあった。
県と県教委では国のガイドラインに反し、障害者手帳などの確認を怠っていたことが判明。障害者として雇用している知事部局66人、県教委128人について調査していた。
その結果、県教委では障害者手帳を持っていなかったり、有無を確認できなかったりした54人を障害者として水増ししていたことが分かった。大半は本人の申告に基づいて独自に障害者と判断して計上していたといい、退職者も1人含まれていた。
また、知事部局では7人で障害者手帳が確認できず、実雇用率は2・85%から2・71%に減ったが、法定雇用率(2・5%)はキープした。
県教委は「一度障害者と認定した人は毎年自動的に算入していた。ガイドラインの理解が足りなかった」と意図的な水増しを否定。法定雇用率を下回ったため、来年度は障害者特別選考を実施するとしている。
一方、民間企業からは行政の怠慢を批判する声が上がった。奈良の民間企業は障害者雇用率が2年連続全国1位と、障害者雇用に力を入れている。奈良を中心にスーパーを展開する「いそかわ」(奈良市)の障害者雇用率は3・19%で、法定雇用率(2・2%)を上回る。同社の人事担当者は、「会社には障害者手帳などを確認する検査が定期的に入る。なぜ行政も同じ形で確認を徹底できないのか疑問だ」と話した。