「開かずの踏切」解消へ 近鉄大和西大寺駅の自由通路、工事本格化
駅近くにある「開かずの踏切」が長年の懸案となっている近鉄大和西大寺駅(奈良市)で、駅の南北を結ぶ自由通路を設置する工事が今月末から本格的に始まる。奈良市は、新年度予算案に整備事業費として約22億6千万円を計上。平成32年度末までの完成を目指す。
近鉄奈良線、京都線、橿原線が乗り入れる同駅は、県内の観光と通勤通学を担うターミナル駅で、1日の乗降客数は約4万7千人に上る。北側には大型商業施設があり、駅周辺の踏切や地下通路は1日約2800人が利用している。
歩行者が南北を行き来するには、駅の北西にある踏切か地下通路を利用するしかない。だが、踏切はラッシュ時、1時間のうち最大52分も遮断機が下りる「開かずの踏切」だ。地下通路は階段の上り下りを強いられるため、高齢者や足の不自由な人は利用しづらい。問題の解消は長年にわたる地域の懸案だった。
市が建設中の自由通路は長さ75・5㍍、幅約6㍍。南北に階段を各2カ所、エレベーターとエスカレーターを1基ずつ設置し、自転車や車いす、ベビーカーも通行できる。
通路の床部分にあたる橋桁を大型クレーンでつり上げ、橋脚の上に設置する工事が今月末からスタート。完了後は内装や外装工事に着手する。
仲川げん市長は「大幅な利便性の改善になる。通行できるようになった時点で、前倒しでの利用開始も検討したい」としている。