奈良市の新火葬場、完成が最長1年遅れる見通し
奈良市が令和2年度末の完成を目指し、同市横井町の山林で建設工事を進めている新火葬場について、仲川げん市長は14日の定例会見で、完成時期が最長で1年程度ずれ込む見通しであることを明らかにした。仲川市長は「率直におわび申し上げたい」と陳謝した上で「引き続き最大限努力をしていきたい」と述べた。
市新斎苑建設推進課によると、新火葬場は当初、昨年夏ごろに工事を開始する予定だったが、工事車両の通行ルートや投棄物の処理をめぐり、住民との協議が難航。市は今年2月、「時間的な制約上、全ての要望に応えることはできない」として、地元水利組合などの合意を得ないまま着工に踏み切った。だが、5月初旬に事業者から「予定通りの完成は難しい」と報告があったという。
報告を受けた市は今月9日、現在稼働している東山霊苑火葬場のある同市白毫寺町の対策協議会と会合を開き、工事に遅れが生じていることを住民らに説明。市は地権者との間で、来年度末までに火葬場の移転を完了するとの覚書を交わしており、仲川市長は対応策について「まずはもう1年だけ契約を延ばしていただくことが第一歩と考えている」との見解を示した。
市は遅くとも4年度中には、新火葬場を稼働させたいとしている。仲川市長は「どれだけ期間を短縮できるか、事業者と協議していく。説明やコミュニケーションを重ねながら、地元の皆さんとも良好な関係を維持していきたい」と話した。