トンボに寄生するキノコ「ヤンマタケ」 川上村・蜻蛉の滝で発見
昆虫などに寄生するキノコ「冬虫夏草」の一種で、トンボを宿主とする「ヤンマタケ」が川上村で見つかった。県内で冬虫夏草の報告例は少ないといい、「自然に興味を持つきっかけにしてもらえれば」と同村の「森と水の源流館」ロビーで展示されている。
見つかったのは、全長約6㌢のミルンヤンマに寄生したヤンマタケ。同館職員の古山暁さんが今月2日、自然観察ツアーの案内をしていた際、「蜻蛉の滝」(同村西河)付近で枯れ枝に付いているところを見つけ、翌日に採取した。
冬虫夏草は昆虫などに寄生して体内の栄養を奪い、宿主が死んだ後に体を突き破って成長する。このミルンヤンマからは、オレンジ色のヤンマタケ(長さ5~6㍉)が約30本生えている。
伝承によると、滝の付近で狩りをしていた雄略天皇の肘にアブが食いついた。これを飛んできた「蜻蛉」(トンボ)がかみ殺したため、天皇は大いに喜び、この地は以来、「蜻蛉野」と呼ばれるようになったとされる。古山さんは「トンボの名前が付いた場所で、ヤンマタケが見つかったのは不思議。縁を感じる」と驚いている。
ヤンマタケは、カメムシに寄生する冬虫夏草「カメムシタケ」とともに、11月30日まで同館ロビー(入場無料)に展示される。問い合わせは同館(0746・52・0888)。