春日山原始林で初めて苗木の植栽
2019年11月14日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
シカなどの野生動物に食い荒らされ、カシやシイの後継樹が育っていない世界遺産・春日山原始林で、林外で育成した苗木の植栽が初めて行われた。
県は平成24年から開かれている春日山原始林保全計画検討委員会の議論に基づき、原始林で採取したカシやシイのドングリを近くの苗場で発芽させる実証実験を重ねてきた。
この日は、ナラ枯れ被害が深刻な春日奥山道路沿いの傾斜地で、27~29年に発芽したアカガシやウロジロガシなどの苗木30本を約10㍍四方に植栽。野生動物の被害から防ぐため、苗木の周辺には柵を取り付けた。県奈良公園室によると、令和4年度までに750本の苗木を植樹する計画という。
現場に立ち会った検討委員の山倉拓夫・大阪市立大名誉教授(植物生態学)は「カシの新芽はシカの好物。(国の天然記念物である)奈良のシカを現在の頭数で維持するのであれば、今後も植樹が必要になる」と話した。