「サヌカイト」発掘調査 秘話・歴史つづる
2019年12月11日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
石器の原材料となったサヌカイト(古銅輝石安山岩)が産出される二上山北麓で、発掘調査に携わった元香芝市二上山博物館学芸員の佐藤良二さんが「サヌカイトに魅せられた旧石器人」(新泉社、93ページ)を出版した。
サヌカイトはガラス質の岩石で、鋭利な刃ができる打製石器の原材料として使われた。二上山北麓には数万年前の後期旧石器時代の遺跡が点在。石器づくりに関係した「二上山文化圏」を形成していたとされる。
著者の佐藤さんは島根県出身。花園大を卒業後、橿原考古学研究所や香芝市教育委員会の職員として発掘調査に携わった。
本では、サヌカイト原石を掘り出した採掘坑と、大量のサヌカイト製石器が見つかった鶴峯荘第1地点遺跡や、継続的に石器が製作された桜ケ丘第1地点遺跡(いずれも同市)などの調査を紹介。石器をつくる瀬戸内技法を解説しているほか、発掘調査の秘話やサヌカイト発見の歴史についてもつづっている。