「子供たちの夢と希望に」徳勝龍V,県内祝賀ムード
2020年01月28日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
大相撲初場所で、奈良市出身の徳勝龍(33)=木瀬部屋=が初優勝を果たしてから一夜明けた27日、「相撲発祥の地」とされる県内では優勝記念の垂れ幕や特別展示の準備が進められ、祝福ムード一色に包まれた。春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)後の同30日には桜井市で地方巡業が予定されており、徳勝龍フィーバーはまだまだ続きそうだ。
城市の相撲館「けはや座」では、奈良県出身力士として98年ぶり2人目となる幕内優勝を祝し、28日から特別展示を実施。徳勝龍の新入幕当時や今場所の番付表、特集記事が掲載された雑誌などを見ることができる。
また、県出身力士として大正11年の1月場所で初優勝した鶴ケ浜の番付表などを展示するコーナーも。城市出身の鶴ケ浜は「右四つ」を得意としたといい、常設展で化粧まわしも展示されている。
同館の小池弘悌課長補佐は「奈良出身力士の優勝はとてもうれしい。県内は相撲人口が少ないので、人気拡大につながるのでは」と期待を寄せる。
小池さんは少年時代の徳勝龍を相撲教室で指導したことがあるといい、「上半身、下半身ともに力が強くてばねがあった。運動神経も良く、どんなスポーツをやっていても大成したのではないか」と話す。中学に入る頃には170㌢、100㌔を超える体格で、「全力でぶつからないと負けるぐらい強かった」と振り返った。
徳勝龍の母校である橿原市立光陽中学校で当時校長を務めていた阪本清三さん(77)も「苦労の末に勝ち取った優勝。子供たちに夢と希望を与えるのではないか」と語る。
徳勝龍は2年生のとき、生徒会副会長として柔道五輪金メダリストの谷亮子さんの講演会開催に携わった。阪本さんは「谷選手の『努力すれば夢はきっとかなう』という話が胸にずっと残っていたのではないか」と推し量る。奈良の相撲史に残る偉業を成し遂げた教え子に「努力する大切さと夢はかなうということを、今度は彼が子供たちに伝えてほしい」と願った。
県内では、県庁と奈良市役所で優勝を祝う垂れ幕や横断幕が掲げられる予定。東京・日本橋にある県のアンテナショップ「奈良まほろば館」では、優勝決定の約1時間後に「祝 徳勝龍関 優勝おめでとう!」と書かれた垂れ幕(縦350㌢、横40㌢)を入り口に設置した。
後援会「徳勝龍関を育てる会」の石津宏一会長(83)は「一夜明けて、たくさんの人からお祝いの言葉をいただき、またうれしさがこみあげてきた」と喜びをかみしめ、「地元に凱旋したときには祝賀イベントを開催できないか検討したい」と話した。