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【未来へつなぐ 狩猟の今(下)】ならジビエ じわり浸透


 奈良市郊外の住宅街にたたずむ「リストランテ ペック」(同市押熊町)。イタリアの片田舎にあるような家庭的な雰囲気のレストランでは、上北山村で獲れた「吉野鹿」を使ったイタリア料理が味わえる。
 「シカ肉を食べたことがないという人も多いので、子供から年配の方まで幅広く召し上がっていただけたら」。こう話すのはシェフの小林寛史さん(50)。「吉野鹿とお野菜のミートソースあえスパゲッティ」はいち押しのメニューだ。
 フランス語で、狩猟で捕獲された野生鳥獣の肉を意味する「ジビエ」。近年、シカやイノシシを使ったジビエ料理を提供する店が増えている。県は平成28年度から、県内で捕獲したニホンジカとイノシシの肉を「ならジビエ」としてブランド化。一定の基準を満たした25の飲食店(12日現在)を「おいし

年間約3トンのシカやイノシシを処理しているジビエール五條

いならジビエ提供店」に登録し、消費拡大を推進しているのだ。
 五條市でもこの年から、学校給食にジビエを取り入れている。ぼたん汁やカレーライス、すき焼きなどさまざまなメニューにアレンジ。児童・生徒からも好評といい、市農林政策課の木村裕晃課長補佐(47)は「幼少期からジビエになじんでもらうのが目的」と説明する。
 こうした取り組みの背景には、シカやイノシシによる食害が深刻化している現状がある。総面積の8割を山林と農地が占める同市では27年、食肉処理加工施設「ジビエール五條」を設立。ここでは1日に3~10頭、年間約3㌧のシカやイノシシが食肉処理され、ジビエの安定供給に一役買っている。
 もっとも、ジビエの消費拡大が進んだとはいえ、食害対策としてはまだまだ十分とは言いがたい。狩猟ビジネスを全国展開するTSJ(奈良市)社長で、一般社団法人「猟協」の副理事長を務める仲村篤志さん(41)は「ジビエが広がらない本質的な理由は、安定供給できないことにある。飲食店が『今日はジビエをお出しできません』と言えば、お客さんを裏切ることになる。レギュラーメニューとして取り入れにくいんです」と指摘する。
 野生鳥獣を食肉として利用するには、夏場であれば捕獲から1時間以内に処理施設に運び込むのが望ましいとされる。だが、県内で年間通して稼働している食肉処理加工施設は、ジビエール五條を含めて6施設だけ。捕獲された野生動物のうち、ジビエとして活用されるのは1割に満たないといい、仲村さんは「簡易処理施設が各地にあれば効率が良くなる」と課題を挙げる。
 消費者の視点からも、解消すべき問題はある。スーパーで販売している牛肉や豚肉とジビエを比較した場合、品質にばらつきがあるのは否めない。木村さんは「きめ細やかなものづくりを特徴とする日本で、品質が統一されていない商品は消費者に受け入れがたいのではないか」と分析する。一方で「そうした品質のばらつきさえも楽しむスタンスが根づいていけば、ジビエがもっと浸透していくと思う」と話している。

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