いじめ体験の絵本 生駒市に270冊寄贈「ライセンス」藤原さん
2020年02月25日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
生駒市出身の漫才コンビ「ライセンス」の藤原一裕さん(42
)が、中学時代のいじめ体験を題材にした自伝的絵本「ゲロはいちゃったよ」を出版し、270冊を市に寄贈した。市内の幼稚園、小学校、図書館に配布される。絵本では、友達にほくろをからかわれたり、靴をごみ箱に捨てられたりと、いじめを受ける少年が「ゲロはいちゃったよ」と淡々と語る。また、戦争や外交などの矛盾も子供の目線で指摘。さまざまな問題を乗り越えようとする姿を、淡いタッチのイラストで描いている。
藤原さんは、新潟県で過ごした中学1年の時にいじめを体験。父の転勤で生駒市に引っ越した後、空手やお笑いと出会って立ち直ったが、「人生を考えれば小中高の12年間は小さな環境なんだよと、いじめられた子に伝えたかった」と思いを語った。
昨年8月末にクラウドファンディングで寄付を募ったところ、206人の出資者から計約140万円が集まり、それを元手に千冊を出版した。
「テーマは重いけど、〝ゲロ〟で園児らは笑ってくれる。先生にはぜひ読み聞かせをしていただきたい」と要望した。
表敬訪問を受けた小紫雅史市長が「いじめ問題を解決するために、この絵本を生かしたい」と決意を語ると、藤原さんは「長く育った地元に貢献したかった。生駒発信で広がり、奈良県の小学校などにも寄贈できれば」と話した。