室生寺宝物殿が開館 国宝十一面観音立像など安置
室生寺(宇陀市)に建立された宝物殿が開館した。数多い文化財を後世に守り伝えるために整備され、金堂に安置されていた国宝・十一面観音立像や弥勒堂の国宝・釈迦如来坐像など計9体が移された。
室生寺は「女人高野」として知られる山岳寺院で、五重塔(国宝)や本堂(同)、金堂(同)、弥勒堂(重文)などが点在する。しかし、堂内の仏像は外の温湿度の影響を受け、災害なども心配されるため一部の仏像などを移す宝物殿を整備。開館は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた。
宝物殿は仁王門の手前に位置し、収蔵室2室がある。移された十一面観音立像は平安時代の一木造り。像高196㌢で豊かな姿をしている。
同像の両側には釈迦如来坐像(平安時代)と金堂から移された地蔵菩薩立像(重文、平安時代)を安置。前には金堂にあった鎌倉時代の十二神将立像体(同)のうち6体が並んでおり、ガラス越しに間近で拝観することができる。このほか、曼荼羅なども公開されている。
室生寺の小田修史執事長は「これで災害から文化財を守り、後世に残すことができる。お堂まで上がれない方もお参りしていただけるようになった」と話している。
宝物殿は入山料(600円)と入館料400円が必要。新型コロナウイルス感染拡大防止のため時間、人数に制限がある。問い合わせは室生寺(0745・93・2003)。