ネットで縁起物注文、祈祷も 安倍文殊院、コロナで授与前倒し
日本三文殊のひとつの安倍文殊院(桜井市)が1日から正月の縁起物などの購入をネットで受け付け、郵送で授与するサービスを新たに始めた。受験生からの「感染が心配」という声に応えた新型コロナウイルス対策で、合格祈願の祈禱もネットで申し込むことができる。有名社寺でのこうした対応は全国的に珍しい。
同寺の本尊は日本最大の文殊菩薩(国宝、高さ約7㍍)。例年、正月三が日を中心に多くの受験生が合格祈願に訪れる。しかし、今年は感染を心配して、参拝せずに縁起物などを購入できる対応を希望する声が多く寄せられ、寺が郵送での授与を決めた。
購入できるのは、破魔矢と来年の干支・丑の土鈴の縁起物のほかに、「合格」や「厄除け」「交通安全」のお守り、合格鉛筆など種類。
希望者はスマートフォンなどで寺のHPにアクセスして品物を選び、代金は画面上でクレジットカード決済。品物は郵送で送られてくる。縁起物の授与開始は例年、11月1日だが、参拝者の分散化をはかるため今年は1カ月早めた。
合格祈願の祈禱もネットを使ったカード決済で申し込むことができ、僧侶による祈禱後、「御祈禱札」などが送られてくる。
同寺ではすでに平成19年から参拝者向けに電子マネー決済を導入するなど改革に前向き。今回の対応については半年前から独自のソフトを開発するなどして準備を進めていた。
同寺では「スマホですべてが完結できるようにした。国がデジタル庁をつくる時代であり、信仰も時代に合わせて対応しなければならない」としている。