県防災拠点事業費600億円 国に財政支援要望
県は、南海トラフ地震に備え、五條市に整備を計画している大規模広域防災拠点について、政府に財政支援などを求める要望書を提出した。概算事業費として、600㍍級の滑走路を備える2期までに150億円、滑走路を2千㍍級に拡張する3期までに600億円が見込まれることが初めて明らかとなった。
南海トラフ地震は、30年以内の発生確率が70~80%と想定されているが、紀伊半島エリアには大型の輸送機などが発着できる広域防災拠点がなく、県が整備計画を公表していた。
整備予定地は、五條市阪合部新田町のゴルフ場周辺で、1期で災害時の拠点や物資の備蓄倉庫となる約5㌶の平場を整備する。2期以降で大型ヘリや輸送機が発着可能な滑走路が整備される予定となっている。完成時期は未定で、現在は用地買収に向けた地元説明会が行われている。
事業費の主な内訳は、建築費、造成費、用地取得費などで、併設予定の消防学校の費用は含まれていない。
県は防災拠点の事業費について、国からの地方交付税で7割が補填される「緊急防災・減災事業債」を活用したい考えたが、今年度中の工事着手が条件で、対象となる事業費も限定される。
県は要望書で同事業債の期限延長や対象範囲の拡大を求めており、大規模広域防災拠点整備課の担当者は「紀伊半島エリアの防災を担う重要な施設で、できる限り早く完成させたい」としている。