「おん祭」始まる「御湯立」でお清め 新型コロナ対策も
2020年12月16日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
古都の師走を彩る春日大社摂社・若宮神社の例祭「春日若宮おん祭」が15日始まり、心身を清める「御湯立」などが奈良市餅飯殿町の大社大宿所で行われた。今年は新型コロナウイルス対策の一環で、御湯立は例年の3回でなく1回限りに。参拝者らに大宿所境内に入ることも控えてもらい、関係者のみが参列した。
大宿所は精進潔斎が行われてきた参籠所で、御湯立は大和郡山市の巫女、加奥満紀子さんが作法を継承している。冷え込んだこの日、午後4時半頃から、加奥さんは煮え立つ大釜の湯に酒や米などを入れ、「左右左」と唱えながらササの葉で湯を振りまいて清めた。
大宿所境内には魚などの懸物(供物)が並んだが、例年行われる名物料理「のっぺ汁」の振る舞いなどはコロナ対策のため、なかった。
おん祭は平安時代に始まって以来、今回で885回目を数える。メインの17日は、時代行列の「お渡り式」が規模を縮小、ルートを短縮して実施。「お旅所祭」は例年通り神事、芸能奉納が行われるが、周辺に入ることは控えてもらうよう呼びかけている。