天理市 ワインとラスクのコラボ、ふるさと納税返礼品に
天理市は、耕作放棄地だった畑で栽培したブドウを使用したスパークリングワインと、地元の企業、大学生が共同開発したラスクを組み合わせたコラボ商品を、ふるさと納税の返礼品に加えた。寄付額2万3千円以上で贈られる。市は収入の確保と地域の魅力発信につながる、ふるさと納税の効果に着目して、ユニークな返礼品の考案に力を入れている。
昨年12月半ばに返礼品に登場した「ワイン×ラスク」の組み合わせは、同市では初めてのコラボ品となる。
ワインは「山野辺ペティアン2019」(750㍉㍑)というラベルで、化学肥料や除草剤なども使わず栽培した天理市産ブドウを原料にした。
木谷ワイン(香芝市)の醸造家、木谷一登さん(31)が、30年以上手つかずになっていた天理市内のブドウ畑を借り、デラウェアの苗木を植えるところからスタート。令和元年に収穫し醸造、出荷にこぎつけた。木谷さんは「決してブドウ作りに適している風土とはいえない市だが、歴史のある産地。県外企業に委託している醸造も将来は市内で手掛けたい」と意気込む。
一方、ラスクは、ワインとの風味の相性のよさを研究した「麩ろったん」という商品。名前の由来はフランス語の「浮かぶ」を意味し、麩のふわりとした食感、低カロリーが特徴という。「金ごぼう×スモーク塩」(15㌘)、「チーズ×ブラックペッパー」(15㌘)、「こがしバター×アールグレイ×くるみ」(22㌘)の3種類入りで、地元の麩製造会社、千葉製麩商店の社内企業「ふよこファクトリー」と天理大学の学生が連携して開発した。
同市産業振興課は「ストーリー性のある返礼品なので、興味を持ってもらえるはず。魅力的な返礼品を出品し、市のアピールも兼ねたい」としている。
天理市へのふるさと納税を含む寄付金額は、令和元年度で約1億1454万8千円と前年度の3倍に増加。ふるさと納税のポータルサイトを2つ増やしたことで窓口が広がった。寄付件数は9191件。
最近では、市産の「レモンの苗木」、刀鍛冶が制作した「ペーパーナイフ」といった特産品も採用。「農産物をはじめ、返礼品はここ数年で年間10品目は増えている」(同課)という。