「奈良町家」35年で6割減、奈良まちづくりセンター調査
2021年03月22日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
伝統的な町並みを形成する奈良市旧市街地「奈良町」の町家が、昭和60年から令和2年までの35年間で約6割が失われた実態が、公益社団法人奈良まちづくりセンターの調査事業で明らかになった。
奈良町は、中世以降に発展し、近世に成立した町々の総称。現在は、近鉄奈良駅を境に、北の「きたまち」と南の「ならまち」、京終駅周辺の3つのエリアに分けられている。
昭和60年、奈良市教育委員会が旧奈良町全域で、街路に面したすべての建物の外観調査を実施したところ、3259件の町家を確認した。その後、民間や行政が同様の調査を行ったが範囲が限定的であったため、旧奈良町全域の変遷を把握できずにいた。
そこで今回、同センターになら・町家研究会が協力し、昨年7~12月に全域の変遷を調査。3259件の%にあたる1974件が消失したことが分かった。消失した61%の内訳は、建て替え42%、駐車場化14%、更地化3%、その他2%となっている。
保存に向けた課題について、なら・町家研究会の藤岡龍介理事は「所有者に町家の価値をどう知ってもらうかが重要」と話す。高齢化で町家を維持できない所有者の増加が予測され、代わりに町家を預かり、守っていく仕組みづくりが急務との指摘もある。