破壊危機のパルミラ遺跡を紹介 橿考研で写真展
過激組織「イスラム国(IS)」の破壊活動で危機にひんするシリア・パルミラ遺跡(紀元前1世紀~3世紀)の本来の美しさを紹介する写真展が23日から、橿原市の橿原考古学研究所1階アトリウムで開かれる。ISに殺害されたパルミラ博物館前館長のハレド・アサッド氏を追悼する目的も込められている。
県や橿考研などの調査団は平成2~22年、パルミラ遺跡の地下墓を調査。隊商都市として栄えたパルミラの葬送儀礼の一端を明らかにした。
当時、遺跡には石造りのベル神殿やバールシャミン神殿、円形劇場、列柱道路、アーチを持つ記念門、塔墓などが残されていた。だが、ISにより2つの神殿や記念門のアーチ部分などは破壊されたと伝えられている。
写真展の展示点数は36点。パルミラ遺跡の全景や橿考研などが調査を行った地下墓、円形劇場、列柱道路などの写真のほか、調査団が撮影した破壊前のベル神殿やバールシャミン神殿、記念門の写真も。パルミラ遺跡を愛し、調査団を温かくもてなしたというアサッド氏の写真も2点掲げられている。
パルミラ遺跡の調査にあたった橿考研の西藤清秀・技術アドバイザーは「遺跡の破壊はあってはならないことで、世界の人たちが残念に思っている。写真展で遺跡のもとの美しさを知ってもらい、遺跡保存の重要性と、シリアの文化財救済への支援をアピールしていきたい」としている。
無料、12月25日まで。期間中、土日(11月8、同22日を除く)祝日は閉館。問い合わせは橿考研(☎0744・24・1101)。
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