県内観光客数↗消費額↘ 平成26年は3811万人が訪問したけれど…
観光客は増えたものの、県に〝落としたお金〟は少ない―。県への平成26年の観光客数は延べ約3811万人で前年より7・4%増えた一方、観光客が県内で消費した額は1252億円で同2・8%減少したことが分かった。日帰り観光客の増加が要因。県は高級ホテル誘致事業や冬季の宿泊料割引キャンペーンなどを進めているが、「日帰り」から「滞在」型の観光への転換が大きな課題であることが浮き彫りとなった。
「観光客数が増えても、宿泊客が増えないと県経済に好影響はない」。県の担当者はため息をつく。
県のまとめによると、県への観光客数は23年以降、年々増加。26年には延べ3811万人となったが、そのうち宿泊客は1割以下の261万人で、前年比約4万人減った。
宿泊客と日帰り客では消費する金額の差はかなり大きい。県の26年の観光消費額は1252億円で、観光客数は前年より多かったが、宿泊客数が減少したため前年比36億円マイナスに。1人あたりの消費額(26年)では、宿泊客が2万5966円だったのに対し、日帰り客は3871円で、約6倍もの差があった。
滞在型への転換課題
「1人あたりの訪問地も減っている。1カ所だけ見て帰っていく観光客が多い」。県観光産業課の担当者は最近の観光傾向をこう指摘する。
エリア別でみると、奈良市などは外国人観光客の増加や春日大社の式年造替などで、前年比14%増と好調。ただ、大阪や京都から日帰りで訪れる人が多く、宿泊客の増加に結びついていない。
26年の日帰り客は近畿圏からの来訪者が75・6%と圧倒的だ。最も多いのが大阪府で35・2%、続いて県内の19・9%、兵庫県の8・4%。宿泊客は首都圏が最多の33・7%で、中部圏で25・5%が続いた。また例年同様、2、7、12月のオフシーズンは観光客が減少していた。
県は冬季イベントの開催や、外国人観光客への情報発信、首都圏での観光プロモーションもさらに強化する方針。最近は大阪でホテルが取れないために奈良に流れる宿泊客も多いといい、担当者は「奈良の魅力を知ってもらうきっかけにしてもらい、次は奈良を拠点とした観光をしてもらえるようにアピールしていきたい」としている。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)