天理市、ごみ焼却施設移転・新設へ 周辺10市町村で共同使用
天理市は、老朽化が進む同市嘉幡町のごみ焼却施設を名阪国道北の天理教所有地(同市岩屋町・櫟本町)へ移転・新設することを決めた。今年度から建設準備を開始、平成35年度の稼働を目指す方針。施設は少なくとも10市町村で共同使用し、建設費や維持管理費の負担軽減を図るという。
移転先の天理教所有地は広さ約1・3ヘクタール。平坦な土地のため大規模な造成が不要で利便性が高いことなどが選定理由という。付近の民有地(約2ヘクタール)には、粗大ごみ処理とリサイクル施設も設置する計画だ。
市によると、現在のごみ焼却施設は昭和57年から稼働。2基の焼却炉で1日220トンのごみ処理ができ、現在は川西町、三宅町、山添村と共同利用している。
一般的な焼却炉の耐用年数は20~25年といい、市は平成12年にダイオキシン対策として焼却炉2基を入れ替える全面改修を実施。だが、建屋の使用期間は一般的に約50年とされ、焼却炉を再び改修してもいずれ施設全体の建て替えが必要なことから、対応を検討していた。
改修と新設にそれぞれ必要な負担経費を比較した結果、いったん改修し、その後さらに新設する場合の負担は約44億円と試算。一方、周辺10市町村と共同使用するため現在より大きい340トン規模の焼却炉をすぐ新設すれば、市の負担は約3分の1の約14億円になると算出。財政面から移転・新設することを決めた。
すでに移転地周辺の住民に対する説明会を開始。同意を得られた地域もあるが、環境悪化を懸念する声もあるという。
共同使用するのは天理市と川西町、三宅町、山添村のほか6自治体がほぼ決定。天理市は関連議案を12月議会に提案予定で、耐震や環境対策の専門家のほか、移設地域の住民らでつくる「環境保全委員会」も設置し、住民への説明を続けるとしている。
並河健市長は産経新聞の取材に対し、「各自治体の財政状況が厳しい中、10市町村による広域使用は画期的で、メリットは大きい。住民の理解をいただけるよう努力する」と話した。
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