ドリームランド跡地どうする!どうなる? 11月10日運命の再公売
平成18年に閉園後、遊具や建物が放置されたままとなっている遊園地「奈良ドリームランド」の跡地について、奈良市は11月10日に再公売を実施する。昨年11月に初めて行った公売に入札者はなかったが、今回の見積価格も前回と同額の7億3千万円。前回の公売が敬遠された一因となったとみられる厳しい法規制についても、仲川げん市長は「緩和するつもりはない」と、依然強気の構えだ。(桑島浩任)
■価格、規制とも変わらず
公売は前回と同じ、県が市町村と同時実施する「共同公売」で、11月10日に天理市の天理市文化センターで実施。午前10時40分~11時に入札を行い、すぐに開札する。
対象は、土地(約29・8ヘクタール)とホテルなど75の建物。近鉄奈良駅から北に約2キロという市中心部で甲子園球場8個分という広大な土地としては、7億3千万円という最低入札価格は破格の安さだ。
だが、跡地は市街化調整区域や風致地区に指定されており、マンションや商業施設の建設は不可能。市によると、県道に面した一部の土地なら「公共サービスの充実」として、コンビニやガソリンスタンドなら建てられるが、広大な土地全体を活用するとなれば、建てられるのは社会福祉施設やスポーツ施設ぐらいだという。
■廃虚の撤去費は数億円
さらにネックとなるのが、数億円以上かかるとみられる遊具などの撤去費用だ。さびついた約30もの遊具が放置されたままの跡地は現在、草が生い茂って廃虚と化しており、落札者が負担することになる撤去作業とその費用は相当重い。
跡地を再び遊園地として利用することは可能というが、古い遊具を撤去して新たに設置するにも、今度は風致地区にかかる規制により、地上10メートルを超える建造物は建てられない。観覧車も「建造物」とみなされるため、10メートル以下のものしか設置はできないのだという。
市には前回の公売後、県内外の不動産業者などから「次の公売はいつやるのか」といった問い合わせが20件以上あったという。関心の高まりに、市は「今回で落札されることしか考えていない」と強気の姿勢だが、広大すぎるうえ規制だらけの土地を一括で買い取り、開発に乗り出すような業者はあるのか。今回の再公売が実を結ぶかはなお不透明だ。
■不成立なら「価値なし」?
では、今回も落札されなかった場合はどうなるのか。市によると、何度公売にかけても落札されない土地などについては、「価値なし」として差し押さえが解除されるという。
だが、運営会社が6億5千万円以上の固定資産税と延滞金を滞納したため差し押さえられたドリームランド跡地が「価値なし」として差し押さえ解除されることは、現実的にあり得ない。市は今回不成立となった場合は、いよいよ土地の分割や最低入札価格変更を検討する方針というが、厳しい規制という課題は残る。
ある大手不動産会社は「マンションや商業施設がダメなら病院や学校を建てるしかないが、収益性が高い施設が建てられない広大な土地は安くても手を出しにくい」と指摘。「うちは入札に参加する予定はないし、他社も同じだろう」と話した。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)