【月刊ならスポ】究極のロープスポーツ「ダブルダッチ」、世界制覇の女子中生4人
2本のロープを使う縄跳び競技「ダブルダッチ」は、〝究極のスピード、テクニックを競い合うロープスポーツ〟といわれる。今夏、フランス・パリで開かれた世界大会で、香芝市内のダンススタジオで練習している中学生のチーム「ブランチ」が、14歳以下女子の部で総合優勝を果たした。ダブルダッチ界の未来を担う有望選手たちが、香芝でその技を磨いている。
ダブルダッチは、17世紀にニューアムステルダムに入植したオランダ人によりアメリカに伝えられ、1970年代にニューヨークで少年非行の横行に歯止めをかけようとルール化され、始まったとされるスポーツ。日本では平成8年に協会が発足した。
競技には、向かい合った回し手「ターナー」2人が2本の縄を内側に回す中を跳び手「ジャンパー」が跳ぶ。ジャンパーが1人の「シングルス」、2人の「ダブルス」で、2分間に跳べた回数を競う「スピード」のほか、回る縄の中でステップやアクロバット、ロープトリックなどの技を組み合わせたオリジナル演技を披露する「フリースタイル」などがある。
今年7月、パリで開かれた世界大会「ワールド・ジャンプ・ロープ・チャンピオンシップ2015」には、26カ国から千人超が参加。その14歳以下女子部門の「シングルススピード」「ダブルススピード」「シングルスフリースタイル」で優勝し、「ダブルスフリースタイル」で準優勝、そして総合優勝したのが、香芝市内のダンススタジオ「ブランコラボ」で練習しているチーム「ブランチ」だ。
ブランコラボで練習する子供たちは、大会ごとにチームを組んでおり、この時のチームは大会5カ月前の2月に結成。広陵町立真美ケ丘中学2年、荻野陽奈さん(14)▽同町立広陵中学1年、白根千紗さん(13)▽三郷町立三郷中学2年、淀谷明葵さん(13)▽香芝市立香芝東中学2年、井上彩那さん(13)の4人だ。
特に、2分間に跳んだ回数を競うダブルススピードでは、中学生日本記録を30回以上も上回る402回を記録。4人は「技術はどこのチームより高い自信があった」「プレッシャーが良い方向に出た」と大会を振り返る。
コーチとして指導するのは、自身も大会で総合優勝した世界トップ選手の田中有樹さん(26)。メンバーは毎週木曜夜、田中コーチの1時間のレッスンを受ける以外にも週1、2回の練習を積み重ねた。
ターナーがひたすら縄を回すことだけを繰り返したり、ジャンパーが入って目標数に届くように跳び続ける「しんどい」練習を重ねるレッスン。だが、荻野さんは「しんどい練習をしたからこそ、記録が伸びたときにチームで喜べる」、井上さんも「目標を達成できると、またさらにチームワークが良くなる」と、地道な積み重ねから目標達成につながってきたと話す。
ヒップホップダンスやアクロバットなど、さまざまなレッスンを受けられるブランコラボ。田中コーチは、「みんなダンスをしていたので、体の動かし方がわかっている。動きを身につけたり、理解する能力はすごく早い」と、ダンス経験が強さの1つと指摘。ただ、「『勝ちたい』と自分たちで練習を重ねたことが、想像以上の成長につながった」と話す。
来年1月と3月の世界大会の国内予選に向け、新たな「ブランチ」が始動する。淀谷さんは「これからもどんどん大会で勝っていきたい」、白根さんも「世界大会のさらに先につなげられるようなダブルダッチをしていきたい」と夢を語る。田中コーチは「このスタジオから、ダブルダッチが県内、全国に広がっていけばうれしい」と期待している。(山本岳夫)
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