【鹿角抄】間一髪、自然災害の恐ろしさ
県内で14人が亡くなり、10人が行方不明になった紀伊半島豪雨災害の発生から4年を迎える。災害を目の当たりにした被災地の方に話を聞くと、改めて災害のおそろしさが身に迫ってくる。
対岸の山が深層崩壊を起こし、土砂と濁流が集落を襲った五條市大塔町では7人が亡くなり、4人が今も行方不明だ。同町宇井地区の自治会長、市平克之さん(75)は当時、まさに深層崩壊で斜面が崩れた山の下、川の下流近くにいたという。
「川もものすごい波で、これは逃げなあかんと思って高い方に駆け上がっていると、はいていた長靴に、パシッと水があたった。波の一番先端があたったんです」。避難が少しでも遅れれば、市平さんもその波にのみ込まれていたのだという。
直前、市平さんは山の斜面から「どす黒い水が噴き出している」のを見ていた。山仕事をしていた父親から、「谷の水の色が変わったり、水量が変わったりしたときは注意するように」と言われていたのを覚えていて、それが早めの避難につながったのだという。
早朝には、犠牲になった住民と話しもしていた。雨が収まったので車で川の様子を見に行こうとしたところ、亡くなった住民から「気をつけて」と声をかけられたという。 「私は命を拾いましたが、いつどこで、何が起きるか分かりません」。地元自治会は4日、被災現場で慰霊祭を行い、犠牲者を追悼する。(山本岳夫)
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