火葬場移転問題で再議 当初予算は修正案可決 奈良市議会
奈良市議会は定例会最終日の25日の本会議で、平成28年度一般会計当初予算案から火葬場移転の関連費用7700万円のうち4800万円などを削減した修正案を、最大会派「奈良未来の会」と「自民党」(各8人)が共同提案し可決。仲川げん市長は、議決に異議がある場合審議のやり直しを求めることができる再議に付し、会期は31日まで延長されることになった。市議会事務局によると、市議会での再議は初めて。
市は総額1286億円の一般会計当初予算案に、横井町への移転を計画する火葬場へのアクセス道路予備設計費など7700万円を計上。だが、22日の予算審査特別委(15人)では、未来と自民のほか共産党(7人)を含む10人が反対、否決されていた。
本会議で、未来と自民は当初予算案から計約1億300万円を削減した修正案を提案。火葬場関連費では環境影響評価の費用2900万円のみを残したほか、「なら国際映画祭」などの開催補助金(1860万円)など、文化振興費なども削減し、賛成24、反対13で可決された。
未来の中西吉日出幹事長は火葬場移転について「地元住民の理解が得られておらず、予定地の安全性の不安も払拭されていない」と指摘。環境影響評価費を残した理由は「住民への説明に必要」とした。
再議に付された修正案の可決には出席議員の3分の2以上の賛成が必要で、可決は微妙な状況。仲川市長は再議の請求後に取材に応じ、「地元の安全という観点でしっかりした提案をしていると認識している。議会も移転が必要とは理解していると思うので、引き続き丁寧な説明を繰り返したい」とした。
同市白豪寺町にある現火葬場は大正5年の開設で老朽化が進んでおり、市は平成20年に横井町への移転を計画。だが21年に就任した仲川市長が白紙撤回し、「奈良ドリームランド」跡地を候補地としたが所有者の同意が得られず、25年に再び横井町を候補地としていた。
約56億円とされる建設費には合併特例債を充てる予定だが、そのためには32年度末までの工事完了が必要。逆算すると28年度中の着工が必須だが、地元住民は「説明が不十分」などと反発、合意は得られておらず、膠着状態が続いている。
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