古代人も「星に願いを」かけた?かも キトラ古墳天文図の写真集刊行 奈文研
奈良文化財研究所は、明日香村のキトラ古墳壁画の天文図(7世紀末~8世紀初め)を紹介した研究報告「キトラ古墳天文図星座写真資料」(74ページ)を刊行した。キトラ古墳の天文図はこれまで、奈文研の研究資料などで公開されているが、74星座を個別に詳細な写真で紹介したのが特徴。うち60星座は詳細写真での公開は初めてという。
キトラ古墳の天文図は星と天の赤道、黄道、内規(常時観測できる天空の範囲を示す円)、外規(観測可能な天空を示す円)の4つの円も描かれ、世界最古の天文図とされる。
奈文研は平成16年、古墳石室内の各壁面に描かれた壁画をデジタルカメラで撮影。その際、天井の天文図の星座を個別に撮影した。うち、オリオン座や北斗七星に該当する14星座については詳細な写真を公表していたが、他の星座は未公表。今回、ふたご座やさそり座、白鳥座などに該当する60星座を公表した。
キトラ古墳の天文図の星座は、ほとんどが直径6ミリの金箔と朱線で表現。写真集ではその様子がよく分かり、星座を描く前の下書き線も確認できる。
天文図は奈文研と国立天文台の共同研究で、古代中国の洛陽、長安付近で星空を観測・製作された天文図をもとに描かれた可能性があることがわかっている。奈文研は「きれいな図録で、実際の星と見比べながら見てほしい。星座や古墳に興味を持つ人に楽しんでいただける内容と思う」と話している。
定価2千円。飛鳥資料館のホームページ(https://www.nabunken.go.jp/asuka/index.html)からネット注文も受け付けている。問い合わせは奈文研(☎0744・24・1122)。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)