生駒市の住宅間近の土地に亀裂 無許可開発業者は行方知れず 県が現地調査へ
生駒市西松ケ丘の住宅地に隣接した土地に亀裂が見つかり、県は6月初めにも本格的な現地調査を始める方針を決めた。現場は約6年前、奈良市の業者が県から許可を受けず勝手に盛り土をしていた。約15メートル下には川が流れ、住民からは「これから梅雨に入る。土地が崩れないか心配だ」と不安の声が上がっている。
県によると、現場は川沿いの斜面の民有地で、住宅数軒分の広さ。土砂災害を防ぐため、土地変更などに許可が必要な「砂防指定地」だ。平成22年6月、近隣住民から「川に土砂が流入している」と通報があり、県が確認したところ、業者が県砂防条例に違反して無許可で盛り土をしていることが発覚した。
県は同7月、業者に是正するよう文書で指導したほか、その後16回にわたり口頭で指導。だが業者は是正せず、23年11月ごろから連絡も取れなくなった。
住民は現場の亀裂が広がっているとして26年8月に生駒市に通報し、同9月に県も情報を把握。生駒市は防水シートを設置し、県は不定期のパトロールを実施していたが、本格的な調査や対策はとっていなかった。今後、計測器で亀裂の大きさを常時監視するほか、地盤の状態も調べる。
荒井正吾知事は24日の定例会見で「民有地なので、行政代執行という形で介入できるのか難しい。経過観察を続けたい」と話した。
砂防指定地をめぐっては、奈良市月ケ瀬で業者が無許可で大規模な土砂掘削を行い、県の対応の遅れも問題となった。県は業者への対応マニュアルを6月にも作成するとしている。
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