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県産イチゴの新品種「奈良10号」17日まで名称募集

県は、県産イチゴの新品種として開発された「奈良10号」(仮称)の名称を募集している。17日まで。
 奈良10号は県農業研究開発センター(桜井市)が開発。「さちのか」と「とちおとめをかけ合わせ、さらに県産ブランドの「古都華」を交配してできたという。

奈良10号


 糖度と酸度のバランスが取れている上、果肉と果皮が硬くて傷みにくいのが特徴。昨年度から、県内のイチゴ農家で栽培試験が行われている。
 県産イチゴはこれまで、奈良7号が「アスカルビー」、奈良8号は「古都華」の名称で品種登録され、奈良9号は「珠姫」と名付けられて昨年9月に登録申請された。
 応募は、イチゴの名前と読み仮名▽命名理由▽応募者の名前▽住所▽電話番号▽メールアドレス|を記入し、県農業水産振興課ホームページの専用フォームから。郵送やFAXでも応募できる。
 採用者と、応募者の中から抽選で計5人に県産イチゴをプレゼントする(採用者が5人を超えた場合は抽選)。問い合わせは同課園芸特産係(0742・27・7443)まで。

県産食材でコラボ商品 近鉄百と県商工連合会

 近鉄百貨店と県商工会連合会は県内のメーカーと連携し、地域の魅力を発信する新商品を開発した。畑工房気まま屋(宇陀市)の「いちからこだわったトマトソース」(890円)と、南芳園茶舗(大淀町)の「ミルクティー専用ほうじ茶」「ミルクティー専用緑茶」(各540円)。
 畑工房気まま屋のトマトソースは「味噌やショウガを加えた和風味」(高島稔夫代表)。南芳園茶舗のミルクティーは、牛乳を注いだカップにティーパックを入れ、レンジで温めるだけの手軽さが魅力だ。
 近鉄百貨店と県商工会連合会は平成30年7月、県産食材を使った商品の開拓支援に関する協定を締結。これまでに10製品を開発し、同百貨店で販売している。

橿原市が組織改革 プロジェクト推進局など新設

橿原市は、プロジェクト推進局や文化・スポーツ局を新設する組織改革を1日付で実施。「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録を進める世界遺産登録推進課も新たに設けられた。
 プロジェクト推進局は企画部(総合政策部から名称変更)に置かれ、庁舎整備課(旧八木駅周辺整備課)や資産経営課(旧財産活用課)などで構成。令和6年オープン予定の新本庁舎建設と分庁舎管理、市街地整備などを一括して担う。
 文化・スポーツ局は、観光政策や地域振興を受け持つ魅力創造部に設置。こども科学館や昆虫館など4施設の運営を担当する文化振興課のほか、スポーツ推進課と世界遺産登録推進課で構成される。
 組織改革に伴い、部局は3増の14、課は1増の55となった。

ジェネリック普及 協会けんぽ奈良支部が啓発に力

 新薬より安価なジェネリック医薬品(後発薬)の普及を促進しようと、全国健康保険協会(協会けんぽ)奈良支部が独自に啓発ポスターを作成するなど力を入れている。同支部によると、県内のジェネリック医薬品の普及率は全国ワースト3位に低迷。背景には病院の院内処方率の高さがある。
 全体に占めるジェネリック医薬品の使用割合を見ると、昨年10月診察分の全国平均は77・4%。奈良県は徳島県、高知県に次いで低い71・5%だった。国は今年9月時点における使用割合について80%を目標としているが、県にとっては厳しい数字となっている。
 奈良支部が昨年11月に作成した啓発ポスターでは、ジェネリック医薬品を選ぶ人の割合(68・6%=平成30年3月時点の全国平均)が、スマートフォン(64・7%=総務省の同年調査)をしのいでいる実態を強調し、「安全性も品質も厚生労働省のお墨付き!」と積極的な使用を訴えている。協会けんぽに加入する事業所のうち、約2千社にポスターを配布したほか、奈良交通バスの車体ラッピング広告などでも啓発している。
 ジェネリック医薬品の使用割合が県内で低いのはなぜか。県内の病院は、近くの薬局で薬を処方する「門前薬局」ではなく、院内で処方する割合が34・7%と全国で3番目に高く、とくに規模の大きな病院における院内処方の高さが背景にあるという。
 奈良支部によると、ジェネリック医薬品を一定以上使用している医療機関には「後発医薬品使用体制加算」が、調剤薬局には「後発医薬品調剤体制加算」が付与される。ただ、ジェネリック医薬品を使用した場合、入院分には診療報酬が加算されるが、外来診療を院内処方する場合は加算されず、メリットが少ないという事情がある。
 奈良支部は、各院内薬局にジェネリック医薬品の使用状況を伝え、患者へのジェネリック医薬品の推奨を呼びかけている。同支部の担当者は「高齢化が進んで国民医療費が年々上昇しており、医療費の適正化を進めないと保険料や税金を負担している加入者や国民に返ってくる。危機感を持ってお願いしている」と話している。

分散登校か家庭学習か 天理市立小中が選択制導入

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休校措置を延長する自治体が相次ぐ中、天理市は市立小中学校に通う児童・生徒に、午前と午後に分かれて登校する分散登校か家庭学習のいずれかを選んでもらう選択制を導入することを決めた。分散登校の実施は県内で初めて。
 分散登校の「午前コース」は授業を受けた後に給食を食べ、午後0時15分に下校。「午後コース」は同0時半に登校し、給食を食べてから授業を受ける。午前と午後のコースは1週間ごとに交代する。児童数が少ない福住小学校では実施しない。
 一方、家庭学習はビデオ会議システムを使い、分散登校の授業の様子をパソコンやタブレット端末で視聴。宿題は1週間分まとめて各家庭に郵送する。宿題には返信用封筒を同封しており、児童・生徒は宿題を学校に送り、担任教諭に添削してもらう。
 市は「命と健康を守ることを最優先しなければならない」として家庭学習を推奨している。
 天理市立の小中学校では6日に始業式を実施。小学校は7日、中学校は7、8日に登校し、選択制の説明を受ける。
 授業の開始は小学校が主に9日、中学校が10日からになる。

「幻の大和絣」斑鳩の草木染織作家が復元

 現在の大和高田市周辺を一大産地として庶民の暮らしに根づき、後継者不足と和装離れで次第に廃れていった「大和絣」。白地に藍染めの柄が浮かび上がる風合いに魅了され、復元に取り組んだ職人がいる。斑鳩町の草木染

亀山さんが復元した大和絣

織作家、亀山知彦さん(37)。大和郡山市の町家物語館(旧川本家住宅)で3日から始まる作品展を前に「素朴で柔らかな風合いが持ち味。普段着だった時代に思いをはせてもらえれば」と語る。
 大和絣は幕末から昭和初めにかけて広く流通した綿織物。一時はお伊勢参りの土産物としても喜ばれたという。明治初期には化学染料の導入に伴う品質劣化で評判を落としながらも、のちに県を挙げての取り組みが奏功して復興。1970年代までは百貨店などで取り扱われていたが、いつしか市場から姿を消した。
 県立民俗博物館(大和郡山市)の横山浩子主任学芸員によると、生産拠点は現在の大和高田や御所、橿原の各市周辺。県内では現在も靴下や下着の製造など繊維産業が盛んだが、「それらの礎となったのが大和絣といえる」と説明する。
 亀山さんは斑鳩町出身。西予市野村シルク博物館(愛媛県)の実習生として染織の全工程を一貫して学び、その後は京都・西陣の手織り工房で5年間修業。昨年1月に地元に戻り、大和絣に出合った。「どこか垢抜けず、ひなびた奈良の風土を思わせる独特の風合い」(亀山さん)に魅了されたという。
 もっとも、復元への道のりは平坦ではなかった。大和絣の製作には、織り手側から奥に向かって傾斜をつけた「大和機」が用いられるが、現存するのは同館の展示品のみ。一般的な機織り機では木綿糸がよれやすくなり、柄合わせは一筋縄ではいかなかった。「一反仕上げるのに2カ月はかかる」という骨の折れる作業の末、復元に成功した。
 町家物語館で5日まで開かれる作品展では、近くの藍染め体験施設「箱本館 紺屋」で染めた井桁柄の反物やショールなど大和絣3点に加え、これまでに織った作品を一堂に紹介する。開館時間は午前9時~午後5時。観覧無料。問い合わせは町家物語館(0743・52・8008)。

御鎮座百三十年 橿原神宮で記念大祭

 橿原神宮(橿原市)の御鎮座百三十年記念大祭が今月2日、同神宮内拝殿で営まれた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一般崇敬者の参列は取りやめ、責任役員と総代の計12人のみが参列した。
 橿原神宮は神武天皇を祭神として明治23年4月2日に創建され、御鎮座記念祭が毎年行われている。
 祭典では、久保田昌孝宮司が祝詞を奏上した後、巫女が「扇舞」を奉納。声楽家でNPO法人「音楽の森」理事長の荒井敦子さんが、世界平和と幸せを祈る歌曲「時のはじまり」を披露した。久保田宮司は「130年の各事業はつつがなく終了し、全国の崇敬者の方々に厚くお礼申し上げます。神武天皇のご加護により、新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息を祈念します」とコメントした。

県教委 教育実習の受け入れ延期

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県教育委員会は2日、5月から県立学校で始める予定だった教育実習などの受け入れについて延期する方針を決めた。各市町村教委にも同日付で延期を要請した。吉田育弘教育長は「大学生にも感染が広がる中で、現時点での受け入れはやめるべきと判断した」と話した。
 県教委によると、教員免許取得に必要な小中高校での教育実習は6月と9月、特別支援学校などでの介護体験は5月ごろから実施されている。特別支援学校には基礎疾患のある生徒が多く、感染した場合に重篤化しやすいことや、学校での感染拡大の防止などを考慮し、延期を決めた。
 教育実習は9月以降に延期する予定といい、吉田教育長は「教職を目指す学生が実習を受けられないような事態は避けるので、安心してほしい」としている

「おいしい十津川」PR 五條の4店舗も仲間入り

平成23年9月の紀伊半島豪雨で被災した十津川村を応援するため、大阪府八尾市の飲食店が始めた「十津川村特産品フェア」に新たに五條市の4店舗が加わった。特産である原木シイタケのおいしさを発信しようと料理人らが腕をふるい、「おいしい十津川」をPRしている。
 「十津川のこの空気と水で育った原木シイタケですから、おいしいに決まってますよね」
 23日、秘境感たっぷりの十津川村五百瀬にやってきた八尾市の美容師、上垣隆幸さん(55)は楽しそうに語った。同市や大阪市平野区では25~29日、今回で7回目となる特産品フェアを開催。参加店が注文した原木シイタケを仕入れるのが来訪の目的だ。2年前から同フェアに提供している生産者の岡田亥早夫さん(37)は「十津川産品を広く知ってもらえるのがうれしい」と話す。
 上垣さんは紀伊半島豪雨の直後から、救援物資を運搬したり、被災者に散髪したりといったボランティアに奔走。村の観光大使でもあり、今年1~2月に上方落語の定席「天満天神繁昌亭」(大阪市)で開催された十津川PR展を仲介するなど支援を続けている。
 昭和28年に十津川村で起きた水害で犠牲になった祖父から「『十津川をなんとかせい』と言われた気がする」と、十津川温泉をPRするチラシや観光パンフレットを大阪府内の居酒屋に置いてもらう〝ひとり復興キャンペーン〟も展開。6年前、地元の居酒屋3軒がこれに同調してフェアが始まった。
 昨年までは大阪府内の9店舗が参加していたが、五條市で酒店を営む知人の紹介で、江戸時代の町家を改装した人気レストラン「五條 源兵衛」が仲間入り。オーナーで料理長の中谷曉人さん(39)が知り合いの飲食店に参加を呼びかけ、市内の4店舗が今月19~21日、一足先にフェアを開催した。
 源兵衛では、原木シイタケを旨煮にし、数種類の香草や卵黄とあえた「十津川原木椎茸のタルタル白鳳卵初産み卵黄を添えて」を創作。プリプリの食感と風味が好評だったという。フェアでは、十津川村の協力施設や村民からの宿泊券や加工品などのプレゼントが13店舗に振り分けられ、盛り上げに一役買っている。
 中谷さんは「フェアをきっかけに、原木シイタケの生産者や八尾の料理人との交流が始まった。楽しい連鎖が十津川のPRにつながればうれしい」とさらなる広がりを期待している。

混雑回避へ始業時間変更 県教委方針

 新型コロナウイルス感染症対策で休校となった県立学校について、県教育委員会は3月27日開いた定例会で、4月から始まる新学期の授業や部活動の対応方針を決めた。当面の間、始業時間を遅らせるなどの対応が盛り込まれている。
 県の方針によると、通学時の混雑を避けるため、始業を約30分遅らせるほか、授業時間を5分程度短縮。授業中は換気やせきエチケットを徹底し、部活動の練習試合や合宿、演奏会なども当面、中止・延期とする。
 多くの学校で9日に予定されている入学式には、在校生を参加させず、来賓には出席の自粛を要請。保護者の参加は同居家族に限定する。8日の始業式は校内放送で実施し、6月までに予定している修学旅行は延期の検討を求める。
 吉田育弘教育長は「電車内の混雑に対する対策をまず考えた。始業時間を遅らせて(生徒を)分散させることで、いい環境で通学してもらいたい」と話した。
 県教委によると、3月26日までに11市町村の学校が部活動を再開したという。

Bリーグ今季残り試合中止 バンビシャス選手ら落胆

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、バスケットボール男子のBリーグは、今季の残り全試合の中止を決めた。2部(B2)のバンビシャス奈良はすでに中止が決まっていた5試合を含め、13試合を残して今季のレギュラーシーズンが終了。加藤真治代表からBリーグの決定を伝え聞いた選手らは、ショックを隠せない様子だった。
 チームは27日午後、田原本町の県営福祉パークで練習する予定だったが、急遽中止に。加藤代表は「残念だが、ファンに前向きなメッセージを届けられるよう頑張りましょう」と選手らに呼びかけた。
 新たにクリストファー・トーマス・ヘッドコーチを迎えたバンビシャスは今季、得点力が飛躍的に向上。1試合平均71・9得点とリーグ18チームで最下位だった昨季とは一変し、今季は同2位の84・3点に。見違える進歩を遂げていただけに、本多純平主将は「残り試合も戦うつもりで準備していたので、やりきれない思い。みんなと最後までバスケットをしたかった」と胸の内を明かした。
 財政面の打撃も大きい。今季開幕時点で約4千万円の債務超過を抱え、B3降格の危機に直面。ロート製薬(大阪市)とのトップパートナー契約締結や増資などで債務超過解消のめどを立てていた。だが、無観客となった2試合を合わせ、ホームゲーム8試合の収入がなくなり、スクールの休止なども含めると損失は2千万円近くに上る。
 加藤代表は「われわれだけでなくリーグ全体が危機的な状態。新型コロナウイルスの問題が長引けば、深刻な事態になりかねない」と危機感を募らせる。一方で「試合がなくても、プロスポーツチームとして皆さんに前向きになってもらえるものを発信していかないといけない」と話し、選手の動画配信などインターネットを活用したファンサービスを計画中という。

奈良ク スポンサー20社撤退

 日本フットボールリーグ(JFL)の奈良クラブは今月23日、奈良市内で記者会見し、ホームゲームの入場者数を水増ししていた問題の影響で、昨季までのスポンサー20社が相次いで撤退したと発表した。2月に就任した浜田満社長は、内部調査の結果を明らかにした上で「公の場での説明が遅くなり申し訳ない。信頼を回復すべく、クラブとして一から進んでいきたい」と謝罪した。
 クラブによると、水増しはJFLに参入した2015年度から5季にわたって行われ、昨季は1試合平均で567人を水増しして公表。トータルでは約2万人にも上る。浜田社長が明らかにした内部調査結果によると、本来カウントしないスタッフや関係者を加えた上で、入場者数を1・3倍にするなどして発表していた。
 クラブ側は昨年12月に問題が発覚して以降、水増しの経緯や今後の対応について、文書やホームページで発表。ファンクラブ会員限定の説明会を実施する一方で、当時の中川政七社長は「すでに説明と謝罪は済んでいる」として公の場に現れないまま、今年1月末で辞任した。
 浜田社長は中川氏ら旧経営陣に記者会見を開くよう求めたが、応じなかったとしている。
 水増し問題の影響は経営にもおよび、昨季までのスポンサー約200社のうち社が撤退。新型コロナウイルスによる景気悪化も追い打ちとなり、今季は約9千万円の収入減が見込まれているという。
 浜田社長は「収益減は増資と経費削減でなんとかなる見通し」と説明。その上で、「今年はクラブとして変わったかどうかが評価される一年。厳しい目で見てもらいたい」と話した。

裁判所も新型コロナ対策

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、奈良地方・家庭裁判所(奈良市登大路町)は県内全ての裁判所の傍聴席の一部を使用不可とし、傍聴人同士の間隔を約1㍍確保する取り組みを始めている。
 奈良地裁では、前後左右の1~2席分の間隔が空くよう、傍聴席の一部に「使用不可」と記した紙が貼られている。これにより、70席ある最も大きい法廷では使用できる席が約30席になった。
 奈良地方・家庭裁判所の森純子所長は「傍聴を希望する方にはご不便をおかけする場合も生じるかと思うが、政府の専門家会議などの示した知見も踏まえた措置であり、ご理解いただきたい」としている。
 

知事、宿泊業界の損失補填に否定的 新型コロナでキャンセル

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、県内の宿泊業者が打撃を受ける中、荒井正吾知事は18日の会見で、県旅館・ホテル生活衛生同業組合が求める損失の補填には応じない考えを明らかにした。同組合の調査によると、予約キャンセルは約10億5千万円に上るとされるが、荒井知事は「売り上げが減ったから、補償してほしいというのはきりがない」と述べた。
 同組合の増田友宏理事長らは17日、県庁を訪れ、荒井知事ら宛てに新型コロナウイルス感染症対策の要望書を提出。融資に関する相談窓口の一括化や申請・審査から実行までの速やかな対応を求めたが、荒井知事は「それは商工会議所の役割」と難色を示した。
 一方、同組合は11日に県に提出した要望書で、予約キャンセルで売り上げが落ち込んだホテルや旅館への損失補填を含めた支援を要請。だが、荒井知事はこれについても「業界内の保険など助け合いの仕組みをつくることをお勧めしたい。その際はお助けしたい」と語った。

新型コロナに負けるな サプライズ花火で卒業祝い

ドーン、ドーン-。19日午後7時ごろ、奈良県香芝市の夜空に突如、大輪の花が開いた。色とりどりの花火を打ち上げたのは、市内に工場を構える老舗花火業者。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、卒業式の縮小を余儀なくされた児童・生徒を思い、彼らを元気づけるためのサプライズだった。
 〝卒業花火〟と銘打ってサプライズを仕掛けたのは、日本三大祭の一つ「天神祭」などで打ち上げ花火を手がける「葛城煙火」(大阪市西成区)。古賀章広社長と喜田真央常務が「新型コロナで閉塞感が漂う世の中をどうにかしたい」との思いから企画したという。
 工場がある香芝市のほか、隣接する葛城市や大和高田市などではこの日が小学校の卒業式。夏の「二上山花火大会」で打ち上げ場所の提供を受ける地元自治会の協力を得て、実現にこぎ着けた。
 人ごみを避けるため事前告知はせず、午後7時から打ち上げを開始。香芝市の花「すみれ」をイメージした花火など2~4号玉計発が15~20秒間隔で夜空を彩った。
 香芝市立下田小学校の山口仁大さん(12)は「迫力がすごかった。卒業式は小さくなってしまったけど満足です」と喜び、妹の晴愛さん(9)は「いろんな色があってきれいだった」と感激していた。

ネット学習コンテンツ、臨時休校の児童・生徒を支援 奈良市

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校が臨時休校となった児童・生徒の学習を支援しようと、奈良市が無料で利用できるインターネット上の学習コンテンツを各家庭に案内している。市立学校に通う小学1年~中学2年が対象で、市がIDやパスワードを一括取得し、学校を通じて配布している。
 利用できるのは、「スタディサプリ」や「みんなの学習クラブ」といった学習コンテンツ。いずれもパソコンやスマートフォン、タブレット端末を使って勉強する。本来は有料だが、市が事業者の社会貢献活動を活用し、無料での利用が可能になった。
 小学生は「国・社・算・理」の4教科、中学生には「国・社・数・理・英」の5教科を用意。動画を見ながら課題プリントに取り組めるという。中学生向けには、個々の習熟度に合わせて出題するコンテンツも用意されている。家庭にインターネット環境がない場合は、学校を通じて課題プリントを配布する。2日に臨時休校が始まって以降、各学校が家庭での自習教材を作成・配布するなどしていたが、これらの学習コンテンツを活用すれば、児童・生徒の学力に適した学習ができる。
 市教育支援・相談課の担当者は「小学校で一時預かり中の児童に学習してもらうなど、各校で活用してほしい」としている。

学習塾ではオンライン授業も

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内と大阪府内で学習塾などを展開するケーイーシー(小椋義則社長、生駒市)は、県内の「KEC個別」「KEC志学館個別」計15校に通う小中高生約2千人を対象に、パソコンやタブレット端末を利用したオンライン授業を始めた。
 塾では学校の一斉休校が始まった今月2日から、受験生を除いて教室での授業を見合わせている。同社はこうした事態を想定し、iPad(アイパッド)を760台購入。双方向にやりとりできるクラウドビデオ会議サービスを使い、9日からオンライン授業を行っている。
 オンライン授業を導入した理由について、小椋社長は「先生が励ましたり褒めたりしないと、子供の心は動かない」と説明。生徒や保護者からは「随時、質問して答えてもらえるのはありがたい」などと好評を得ているという。
 16日からは教室での授業を再開する予定だが、希望者にはオンライン授業を継続してもらう。小椋社長は「家にこもっているのでストレスがたまっていると思う。大変な状況だが、生徒のために教育の環境をつくっていきたい」と話した。

斑鳩町コミュニティバス 4月から王寺駅乗り入れ

 運賃100円で斑鳩町内を運行する「町コミュニティバス」の運行ルートが再編され、4月1日から王寺駅(王寺町)への乗り入れを開始する。
 バスは住民の外出支援を目的に、町役場を起点として1日4便を運行。昨年4月~12月末に計1万8248人(1日平均66・36人)が利用した。王寺駅への乗り入れを要望する声が多く寄せられていたことから、再編を決めたという。
 中西和夫町長は「いろんなコースを通るので、斑鳩の良さも感じてもらえる。住民の利便性だけでなく、観光客の集客も期待している」と話した。

旧遊廓建築の解体始まる 大和郡山市

かつて遊郭として栄えた大和郡山市洞泉寺町で、老朽化が進んだ旧遊郭建築4棟の取り壊しが6日に、始まった。最後の一般公開となった1、2日の見学会には多くの市民らが訪れ、町家風情を伝える歴史的建築物との別れを惜しんだ。
 洞泉寺町はJR郡山駅と近鉄郡山駅の間に広がる城下町に位置する。市によると、一帯には江戸時代前期から遊廓が存在。明治10年に公認となり、大正14年には17の貸座敷で約200人の娼妓が働いたという。
 昭和33年に売春防止法が施行されて廃業し、現存する建物は7棟のみに。市はこのうち大正13年に建てられた3階建て木造建築「旧川本家住宅」を買い取り、約8千万円を投じて耐震改修。平成30年にその歴史を後世に伝える「町家物語館」としてリニューアルした。
 取り壊されるのは、浄慶寺の敷地内にある4棟。以前は住居や下宿として使われていたが、近年は空き家になっていた。同寺によると、傷みが激しいため解体し、跡地は駐車場などに利用する予定という。
 一般公開されたのは、4棟の中で比較的状態の良い「旧山中楼」(木造3階建て)。前面がすべて格子になっているほか、欄間も意匠が凝らされている。玄関の壁面には、娼妓の写真を置いていたとみられる「飾り棚」が残されており、見学客らは内装を興味深そうに観察したり、熱心に写真を撮ったりしていた。
 2日に見学した同市の神戸大海事科学部2年、吉村玲音さん(20)は「さまざまな部分に昔の面影が多く残っていると感じた。大和郡山市の貴重な遺産がなくなってしまうのは寂しい」と名残惜しんだ。

奈良オマーン友好協会が現地訪問報告会

中東オマーンと交流を続けている「奈良オマーン友好協会」のメンバー11人が2月、首都マスカットの在オマーン日本大使館を表敬訪問し、奈良市大宮町の物集女ホールで報告会が行われた。
 オマーン滞在は2月5~11日。中東の一大イベント・マスカットフェスティバルで奈良をPRする予定だったが、カブース前国王の崩御により中止となった。
 2月29日にあった報告会で、砥綿千恵理事長(43)は「計画していたPRはできなかったが、家庭料理や民族衣装を堪能し、心豊かな国民性にいっそう触れることができた」と話した。
 オマーンは海のシルクロードの中継地として古代から栄え、終着点の奈良・正倉院にはアラビアとの交流を示す宝物が残っている。奈良オマーン友好協会は、新しいシルクロードを構築しようと平成22年に発足。今月で丸10年となった。

春の訪れ告げる甘い香り 郡山城跡で盆梅展

大和郡山市の郡山城跡で春の訪れを告げる盆梅展が開かれ、赤や白、ピンクに色づいた梅の花が甘い香りを放っている。3月10日まで。
 市内の愛好家らが丹精込めて育てた盆梅約120点を展示。2

見ごろを迎えた盆梅を楽しむ来場者

㍍を超える大きさの梅や樹齢約150年の梅も。今年は暖冬の影響で開花が例年より10日ほど早いといい、盆梅や会場周辺の梅は見頃を迎えている。
 毎年訪れているという京都府京田辺市の広岡良太郎さん(87)は「色も香りも最高。お城の中で展示されているので、風情がありますね」と話していた。

NAFIC3期生 卒業記念にフルコース提供

3月に卒業を控えた「県立なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」(桜井市)の3期生が、2日間限定のレストラン「ラ・パスレル」を校内にオープンした。2年間の学びの集大成となるフランス料理のフルコースを調理し、在校生らに振る舞った。
 同校は平成28年に開校。食の担い手を育成する「フードクリエイティブ学科」と、農業経営の実践的な技術を学ぶ「アグリマネジ

テーブルを回り、料理にソースをかける生徒(右)

メント学科」がある。今回はフードクリエイティブ学科の10人が、アグリマネジメント学科の生徒が育てた農作物や地場産食材をふんだんに使い、フルコースのメニューを考案した。
 2月26、27の両日とも、ランチとディナーをそれぞれ2時間にわたって提供。13人の在校生や家族、友人だけでなく、県の公募に申し込んだ一般客もその味に舌鼓を打った。魚料理の「スズキのパイ包み焼き、ソースショロン」を提供するにあたり、サービス担当の生徒はテーブルの前で切り分けるパフォーマンスを披露した。
 兵庫県加古川市出身の梅崎綾音さん(20は「大和地鶏を使ったゼリー寄せや柿の葉寿司に着想を得た前菜は、奈良らしさが存分に表れていると思う。将来は自分の店を持ち、県産食材を存分に使って奈良をアピールしたい」と話していた。

三郷町と帝塚山大 包括連携協定締結 観光PRの起爆剤に

三郷町と帝塚山大学(奈良市)は、観光や教育・研究・文化、資源活用、人材育成などを盛り込んだ包括連携協定を締結した。同大東生駒キャンパスで調印式に臨んだ森宏範町長は「三郷町は観光資源がありながら、まだ日の目をみていない。若い学生の考え方、視点を歴史的なものの発掘や観光PRにつなげたい」と期待を込めた。
 協定は、法隆寺創建時の瓦に関する現地調査を行った同大文学部の清水昭博教授と町が合同で、聖徳太子をテーマにしたイベントなどを開催したことがきっかけで実現。町が大学と同協定を結ぶのは2校目で、国認定の「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」の実現へ生かしていく。
 町立三郷北小学校に設置されている近鉄東信貴鋼索線(昭和年廃線)の車両が3月日、町文化財への指定に伴って近鉄信貴山下駅前に移転されるが、町は信貴山観光のPRなどに学生の知恵を投入する。
 同大の蓮花一己学長は「本学の知的リソースや地域連携のノウハウを活用してもらい、町から提供される実学教育の研究フィールドを教育・研究の活性化につなげたい」と語った。

橿原市分庁舎でインスタ写真展

 橿原市の公式インスタグラム(写真共有アプリ)に投稿された写真を紹介する展示会が、市分庁舎(ミグランス)1階交流スペースで開かれている。3月2日まで。
 市は昨年2月、インスタグラムの公式アカウントを開設。これまでに千点以上が市民から寄せられている。今回は開設1周年を記念し、投稿された写真の中から130点を選び、展示している。
 藤原宮跡のハスやコスモス、今井町の街並み、橿原神宮の鳥居、おふさ観音のバラ、橿原神宮前駅前の黄色いポスト|などよく知られた場所の写真のほか、コーヒーとデザート、サンドイッチ、どんぐり、犬、花火などの写真も。
 市は毎月、投稿の中から1点を広報紙に掲載しており、その作品も展示。市広報広聴課は「日常の何気ない写真や普段は見に行かない場所の写真もある。橿原をもっと好きになってもらいたいので、これからも良いところを発信していきたい」としている。
 展示会は午前8時半~午後5時15分。

いじめ体験の絵本 生駒市に270冊寄贈「ライセンス」藤原さん

 生駒市出身の漫才コンビ「ライセンス」の藤原一裕さん(42

生駒市の小柴市長(右)に絵本を手渡す藤原一裕さん

)が、中学時代のいじめ体験を題材にした自伝的絵本「ゲロはいちゃったよ」を出版し、270冊を市に寄贈した。市内の幼稚園、小学校、図書館に配布される。
 絵本では、友達にほくろをからかわれたり、靴をごみ箱に捨てられたりと、いじめを受ける少年が「ゲロはいちゃったよ」と淡々と語る。また、戦争や外交などの矛盾も子供の目線で指摘。さまざまな問題を乗り越えようとする姿を、淡いタッチのイラストで描いている。
 藤原さんは、新潟県で過ごした中学1年の時にいじめを体験。父の転勤で生駒市に引っ越した後、空手やお笑いと出会って立ち直ったが、「人生を考えれば小中高の12年間は小さな環境なんだよと、いじめられた子に伝えたかった」と思いを語った。
 昨年8月末にクラウドファンディングで寄付を募ったところ、206人の出資者から計約140万円が集まり、それを元手に千冊を出版した。
 「テーマは重いけど、〝ゲロ〟で園児らは笑ってくれる。先生にはぜひ読み聞かせをしていただきたい」と要望した。
 表敬訪問を受けた小紫雅史市長が「いじめ問題を解決するために、この絵本を生かしたい」と決意を語ると、藤原さんは「長く育った地元に貢献したかった。生駒発信で広がり、奈良県の小学校などにも寄贈できれば」と話した。

【未来へつなぐ 狩猟の今(下)】ならジビエ じわり浸透

 奈良市郊外の住宅街にたたずむ「リストランテ ペック」(同市押熊町)。イタリアの片田舎にあるような家庭的な雰囲気のレストランでは、上北山村で獲れた「吉野鹿」を使ったイタリア料理が味わえる。
 「シカ肉を食べたことがないという人も多いので、子供から年配の方まで幅広く召し上がっていただけたら」。こう話すのはシェフの小林寛史さん(50)。「吉野鹿とお野菜のミートソースあえスパゲッティ」はいち押しのメニューだ。
 フランス語で、狩猟で捕獲された野生鳥獣の肉を意味する「ジビエ」。近年、シカやイノシシを使ったジビエ料理を提供する店が増えている。県は平成28年度から、県内で捕獲したニホンジカとイノシシの肉を「ならジビエ」としてブランド化。一定の基準を満たした25の飲食店(12日現在)を「おいし

年間約3トンのシカやイノシシを処理しているジビエール五條

いならジビエ提供店」に登録し、消費拡大を推進しているのだ。
 五條市でもこの年から、学校給食にジビエを取り入れている。ぼたん汁やカレーライス、すき焼きなどさまざまなメニューにアレンジ。児童・生徒からも好評といい、市農林政策課の木村裕晃課長補佐(47)は「幼少期からジビエになじんでもらうのが目的」と説明する。
 こうした取り組みの背景には、シカやイノシシによる食害が深刻化している現状がある。総面積の8割を山林と農地が占める同市では27年、食肉処理加工施設「ジビエール五條」を設立。ここでは1日に3~10頭、年間約3㌧のシカやイノシシが食肉処理され、ジビエの安定供給に一役買っている。
 もっとも、ジビエの消費拡大が進んだとはいえ、食害対策としてはまだまだ十分とは言いがたい。狩猟ビジネスを全国展開するTSJ(奈良市)社長で、一般社団法人「猟協」の副理事長を務める仲村篤志さん(41)は「ジビエが広がらない本質的な理由は、安定供給できないことにある。飲食店が『今日はジビエをお出しできません』と言えば、お客さんを裏切ることになる。レギュラーメニューとして取り入れにくいんです」と指摘する。
 野生鳥獣を食肉として利用するには、夏場であれば捕獲から1時間以内に処理施設に運び込むのが望ましいとされる。だが、県内で年間通して稼働している食肉処理加工施設は、ジビエール五條を含めて6施設だけ。捕獲された野生動物のうち、ジビエとして活用されるのは1割に満たないといい、仲村さんは「簡易処理施設が各地にあれば効率が良くなる」と課題を挙げる。
 消費者の視点からも、解消すべき問題はある。スーパーで販売している牛肉や豚肉とジビエを比較した場合、品質にばらつきがあるのは否めない。木村さんは「きめ細やかなものづくりを特徴とする日本で、品質が統一されていない商品は消費者に受け入れがたいのではないか」と分析する。一方で「そうした品質のばらつきさえも楽しむスタンスが根づいていけば、ジビエがもっと浸透していくと思う」と話している。

【未来へつなぐ 狩猟の今(中)】招かれざる、「神の使い」

原木の買い取りや加工材の販売を手がける「県森林組合連合会木材センター」は、四方に森林が広がる吉野町の山間部にある。

シカによって樹皮がはぎ取られたスギの人工林


 「朝は辺り一帯がシカのたまり場になっていますね」。林業の担い手育成に取り組む県森林組合連合会の職業訓練指導員、中井理仁さん(49)はこう話す。
 平成12年の開所当時、シカの姿はほとんどなかったという。「この辺りにはスギやヒノキなどの樹皮がある。里山で食べるものがなくなったからこそ、餌にありつける格好の場所になっている」と説明する。被害防止用のネットも設置しているが、対策は追いついていないのが実情だ。
 そもそも、今の時代になぜ、狩猟の必要性がこれほど迫られるようになったのか。背景には、野生鳥獣が農作物と森林に及ぼしている甚大な被害がある。農作物の被害額は減少傾向にあるが、関係者は「山間部に生息していた動物が活動範囲を広げ、問題がより広範囲で起こるようになっている」と警鐘を鳴らす。
 農林水産省の調べによると、平成30年度、野生鳥獣による農作物被害は約158億円にも上った。その半数以上はシカとイノシシによるものだ。環境省の調査によると、元年からの約30年でイノシシの推定個体数は3倍に、繁殖力が高いシカにいたっては本州以南でなんと8倍にそれぞれ増加。分布域は昭和53年から平成26年までの36年で約2・5倍に拡大したとされる。
 被害は農作物にとどまらない。森林被害は全国で年間約6千㌶(30年度、林野庁調べ)にもおよび、シカによる被害はこのうち約4分の3を占める。奈良公園周辺に生息するシカは「神の使い」と古来あがめられてきた存在だ。だが、山間部に目を向けると「鹿害」は深刻さを増している。シカが1日に食べる草や樹皮の量は約5㌔。植栽木や林床植生を好み、秋冬は落ち葉や樹皮まで食べてしまう。林床植生が荒らされれば昆虫など生物の多様性が損なわれ、さらに落ち葉がなくなると土壌崩壊につながるケースもある。樹木でこすって角の表面を磨く「角研ぎ」や樹皮がはがされることで、木材の価値が著しく損なわれるのも深刻な問題だ。
 一方、県は生産・防災・生物多様性などの森林機能を重視するスイスの林業をモデルに、スギやヒノキの一斉人工林から、針葉樹と広葉樹の混交林の状態を恒続させる「恒続林」への転換を目指している。
 だが、増え続けるシカによる被害を食い止めなければ、恒続林を実現させるのは難しい。昨夏、スイス・ベルン州の「リース林業教育センター」から来日し、県内で研修を積んだ実習生の一人は「本当にたくさんのシカがいて驚いた。幼齢樹にとっては非常に大きな問題なので、捕獲していくべきだ」と指摘した。
 林業と狩猟は切っても切れない関係にある。奈良公園のシカは愛らしい姿で観光客に人気だが、山間部では林業関係者にとって頭痛の種となっている。

北朝鮮に拉致された被害者の即時全員帰国に向けた「拉致問題を考える国民の集いin奈良」が24日午後2~4時、奈良春日野国際フォーラム甍(奈良市春日野町)で開催される。3日には神戸市出身の有本恵子さん(60)=拉致当時(23)=の母、嘉代子さんが娘と再会を果たせないまま、94歳で死去。高齢家族の切迫した実情が浮き彫りとなる中、被害者家族は世論の高まりを切望している。
 「国民の集い」は平成20年から全国各地で開かれているが、県内では初開催となる。
 集いでは、昭和52年に拉致された横田めぐみさんの弟で、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長の横田拓也さんが「北朝鮮よ!姉を帰せ!」と題して講演。55年に語学習得のため訪れていた欧州で拉致された松木薫さん=拉致当(26)=の弟、信宏さん(48)が被害者家族を代表し、有本嘉代子さんとの思い出や活動の現状などについて報告する。
 また、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない特定失踪者の家族を代表して、堺市の自宅から散歩に出たまま不明となった植村留美さんの父、照光さんが思いを語る。
 松木さんは「膠着状態に映る昨今だが、動くときは一瞬。何がきっかけになるか分からないので、ひたむきに(活動を)やり続けるしかない」と話している。
 主催する政府拉致問題対策本部と県が14日までに参加者300人を募集したが空席があるため追加募集を検討している。問い合わせは県知事公室国際課(0742・27・8477)。

【未来へつなぐ 狩猟の今】ハンター界に変化の兆し、「ペーパー猟師」課題

 「小学校教育の段階で、狩猟の必要性を広めてみてはどうか」「狩猟というとまだまだイメージが固い。趣味の延長線上として打ち出していくべきだ」―。
 昨年9月、奈良女子大(奈良市)で開かれたイベント「狩猟のいろは」。さまざまな提言を繰り出したのは、狩猟活動とは縁遠い存在であるはずの女子大生だった。
 野生鳥獣による深刻な農作物被害、さらにハンターの高齢化―。数々の課題を抱える狩猟の世界にいま、変化の兆しがある。「狩りガール」と呼ばれる女性

イベント会場で狩猟を手にする女性ら=昨年9月29日撮影、奈良市

ハンターや、若年層のハンターが増えているのだ。
 県農業水産振興課によると、平成25年度に狩猟免許(網・わな・第1種・第2種の合計)を所持していた10~30代は146人だったが、その後は右肩上がりに増え、30年度は287人となった。一方、女性ハンターの数も年々増えている。24年度に14人だった女性の狩猟免許所持者は、30年度には87人に。全体に占める割合は0・7%から4%に急増した。
 女性の免許取得者が増えた背景について、県の担当者は「狩猟をテーマにした漫画の影響に加え、狩りやジビエ料理がメディアで取り上げられ、身近に感じられるようになったのでは」と分析する。鳥獣駆除に役立てる交付金を活用し、講習会の受講費用を補助して免許取得を後押ししている自治体もある。
 奈良女子大では28年、ハンティングサークルが発足。学生らは野迫川村でわな猟を実践的に学び、県と連携したイベントでジビエ料理を振る舞っている。現在のメンバーは8人で、中にはわな猟の免許を取得した学生も。同サークルに所属する福井彩季さん(21)は「ジビエ料理などを通し、農作物被害を受けている山村の暮らしや狩猟の必要性にも目を向けてもらえれば」と話す。
 県内の免許所持者2163人のうち、60代は約56%(1214人)を占める。ハンターの高齢化は依然として深刻だ。若い世代の免許取得が進んでいるのはいい傾向といえそうだが、手放しでは喜べない。免許所持者が増えても、鳥獣被害の抑止と直結するわけではないからだ。
 狩猟ビジネスを全国展開するTSJ(奈良市)社長で、一般社団法人「猟協」の副理事長を務める仲村篤志さん(41)は「免許を取っても、実際に捕獲ができなければ『ペーパー猟師』が増えるだけ」と指摘する。捕獲のためには知識と地道な経験が必要な上、狩猟者登録を受けると税金もかかるだけに、実際に更新し続ける人はさほど多くはないのが実情という。
 仲村さんは「狩猟者のステータス向上も必要。行政が捕獲の講座を開くなどして、狩猟者の技術を向上させる仕組みを作ってはどうか」と提案する。
           ◇ 
 私たちの生活を陰で支える狩猟の今とこれからを考える。

臨時校長会で再発防止確認 生駒、中学生盗撮で

 生駒市の市立中学校で複数の男子生徒が女子生徒を繰り返し盗撮していた問題を受け、市教育委員会は12日、臨時の校長会を開き、再発防止に向けて連携を強化する方針を確認した。
 同校では昨年11月以降、2年生の男子生徒5、6人がスマートフォンやペン型小型カメラを使い、1、2年生の女子生徒のスカートの中や着替えの様子を教室などで複数回にわたって盗撮。無料通信アプリ「LINE(ライン)」で動画や画像を共有していたことが明らかになった。300円~千円で売買されていた可能性もあるという。
 校長会には、市立の全小中学校の校長ら約20人が出席。問題の経緯について市教委の担当者から報告があり、校長らは情報共有や指導の徹底を通じ、再発防止を図ることを確認した。
 中田好昭教育長は校長会後に取材に応じ「危機管理や情報共有の意識をさらに持ってほしいと伝えた」と説明。今後の対応については「生徒や保護者からの対応は、学校長らに窓口を一本化していく」と話した。
 この日は市議会の全員協議会も開かれ、金銭のやりとりの有無について市議から質問が相次いだほか、「性犯罪、性暴力との認識を持つべきだ」という厳しい声も出た。

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