インバウンド需要 奈良県内企業、あの手この手で取り込みへ スケーター、梅乃宿酒造、中川政七商店……

インバウンド向けにスケーターが開発した900㍉㍑入りの大型水筒=奈良市
訪日外国人客(インバウンド)の増加に伴い、奈良県内の企業の戦略に変化が生じている。日本人と生活文化が異なる客のニーズに応えるべく、これまで主力商品でなかったものに注力したり、多言語対応の施設を整備したり。インバウンド需要を取り込むため、さまざまな業界であの手この手が打たれている。(木村郁子)
■主力商品以外に注力
2月下旬に奈良市内で開かれた日用雑貨品メーカー「スケーター」(同市)の春季新製品展示会。一ひときわ目を引いたのが、アニメのキャラクターなどがデザインされた水筒だ。同社は今回、従来販売していた480㍉㍑入りの水筒の約2倍にあたる900㍉㍑入りの大型水筒を開発した。念頭にあるのは、インバウンドだ。
同社の主力商品は弁当箱だが、広報を担当するデジタルMK本部の鴻池輝明部長は「欧米などは弁当文化がないことから、主力商品よりも水筒が人気。ゲームやアニメキャラクターなど、日本が誇るサブカルチャーを落とし込んだグッズが土産物として選ばれています」と説明する。
このほか、日本食ブームもあって同社の箸も土産品の定番となっている。インバウンドに向けた箸は、1膳揃いの同柄以外にあえて1本1本に別のキャラクターイラストが施されているものも。箸としての用途以外に、髪をまとめるヘアアクセサリーとして活用されるという。
■トイレの使い方説明
酒造会社「梅乃宿酒造」(葛城市)は、蔵見学や梅酒づくり体験、試飲などを通して、日本酒発祥の地とされる奈良をアピールする。同社によると、海外旅行客のうちフランス人が9割を占めていると言い、団体ツアーの訪問先として選ばれている。
マーケティング部の福山和子さんは「酒造りの工程を見ることができたり、酒米が発酵する音が聞けたりと、どんな国の人でもわくわくするような蔵でしか楽しめない体験を提供しています」と話す。

梅乃宿酒造の梅酒づくり体験はインバウンドにも人気だ(梅乃宿酒造提供)
大阪・関西万博の開幕を控え、今後、インバウンド客は増える見込みで、すでに蔵見学の予約も今秋まで入っているという。多言語での接客対応に加え、今後はトイレに多言語で使い方の説明板を設置するなどして生活文化の違いにも対応する。
■海外に旗艦店も
日本の工芸品を扱う中川政七商店(奈良市)も活況だ。観光客の多い三条通にある奈良三条店は、3割が外国人客で、こちらは特にアジア人が多いという。このため同社は商品につけるポップに英語を併記。今年1月には、日本語表記のみだったブランドロゴを海外でも通じるように英語表記を付け加えた。

中川政七商店のこれまでのロゴ(左)と英語表記の入った新しいロゴ(中川政七商店提供)
インバウンド需要に手応えを感じた同社は、令和12年には海外への旗艦店出店も視野に入れる。広報担当の佐藤菜摘さんは「日本の工芸を元気にする一つの道として、海外にも販路を広げたい」と話している。


































