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県内に400人 雇用、心のケア・・・若年性認知症患者にのしかかる課題


 県内に約400人いるとされる若年性認知症患者。約4割が働き盛りの男性だが、発症を機に離職を余儀なくされる人も少なくない。困窮する患者や家族が〝普通の生活〟を地域で送ることができるよう地道な取り組みを続ける「一般社団法人若年認知症サポートセンターきずなや」(奈良市)では、そんな患者たちに活路を見いだそうと取り組んでいる。

利用者らと梅林復活に向け作業する若野達也さん(右)‖奈良市

利用者らと梅林復活に向け作業する若野達也さん(右)=奈良市

 ◇大半が働き盛りに離職

 65歳未満で発症する若年性認知症。老人性認知症と同様、もの忘れや言語障害などの症状が現れるが、「若い」ことから発症に気づかない場合も多く、治療の課題となっている。

 県は平成24年に初の実態調査を実施。医療機関や市町村などへのアンケートから、男女計351人(男性193人、女性158人)の県内在住患者が判明した。調査時64歳以下だった患者は男女とも約8割。就業者は約5%で、発症後に就労形態に「変化があった」人が大半だった。

 発症時に「職場の配慮があった」人は約36%。多くは業務内容を変更していた。「業務が遂行できない」と約50%が離職、約60%が「減収した」と回答した。

 一方、「生活」面では大半が「現在の場所での居住継続」を希望したが、「近所の人の無理解や偏見、家賃など住宅に関する経済的負担」を不安要素に挙げた。公的支援として、傷病手当金や障害者手帳、自立支援医療制度―などが適用できる場合もあるが、県の担当者は「働く場や居場所づくりは深刻な課題。だが、患者の絶対数も少なく、具体的な方策を示すのは容易でない」と明かす。

 ◇需要に追いつかない

 そんな中、民間の力で公的支援制度のはざまにいる患者や家族が〝当たり前の生活〟をし、望む場所で暮らせる社会づくりに取り組むのが「若年認知症サポートセンターきずなや」だ。

 代表理事の若野達也さん(41)は長年、病院や行政機関で精神障害者の相談員などを務めた。受け入れ先がない精神科病院にかかる認知症患者を目の当たりにしたのを機に、18年に奈良市内にグループホームを開設。だが、受け入れた利用者の大多数は50代の男性患者で、「働きたい」利用者に、高齢者向けの既存施設が対応できない現状が浮き彫りになった。

 全国で初めて奈良市内に発足した若年性認知症患者の家族会や、厚労省のモデル事業を実施する東京都の団体の取り組みなど、先進的な取り組みを探して学んだ。そして決めたのが「きずなや」の開設。「働く」ことと「ネットワークづくり」を軸に、介護保険の適用外となる事業所や独居老人宅の草抜きや掃除、講演など、少しずつ仕事を獲得。若年性認知症患者を労働者として登録し、仕事や生活の場を確保できるよう、取り組んでいる。

 ◇〝普通〟に生活できる社会に

 「今の社会的環境では、若年性認知症患者の雇用は難しい。理解され、地域で認められ、貢献できるようにしたい」

 そんな思いを強くした若野さんは25年、「きずなや」を同市大和田町の住宅地にある一軒家に移転。周辺には、年間数万人の観光客が訪れたが約10年前に閉園し、地域の高齢化で放置されたままの梅林があった。
地元組合と話し合いながら、「きずなや」が中心となって再生、地域に「にぎわい」を取り戻すチャレンジを始めた。今年3月には、約500本の梅を植林。5月末に収穫した実は地元企業の協力でジャムなどの商品開発につなげた。

 「きずなや」に労働者として登録している若年性認知症患者は現在、55~64歳の男性4人。大手企業の期限付き支援を受け、うち3人は時給800円で雇用している。だが、持続可能な運営にはなお課題があるという。

 「(認知症患者は)役に立たないと思われがちだが、地域もそれぞれの事情で困っている。患者はサービスの受給者だけでなく、提供者にもなれる」と若野さんは指摘。「一つの経済サイクルの中に認知症の人を自然に入れる社会にしたい」と、患者や家族とともに、更なる挑戦を続ける。(山﨑成葉)

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 (関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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