奈良市の訪日客、初の200万人突破 昨年1年間
昨年1年間に奈良市を訪れた外国人観光客数は、推計で265万1千人(前年比66万1千人増)に上り、初めて200万人を突破したことが市のまとめで分かった。外国人を含む全体の観光客数は1702万5千人(前年比71万1千人増)で、平城遷都1300年祭のあった22年の1841万人に次ぐ数値となった。
市観光戦略課によると、外国人観光客数は5年連続で過去最多を更新。観光客数全体に占める割合も年々増しており、年はわずか2・9%だったが、30年は15・6%に上昇。前年からの増加分のうち約93%を外国人が占め、奈良市の観光を牽引したことが浮き彫りとなった。
観光案内所を訪ねた国・地域別の内訳は、中国(24・2%)が最も多く、台湾(7・5%)、米国(7・3%)、フランス(6・5%)と続いた。前年比で見ると、中国、台湾、韓国といった東アジアは減少し、欧米が増加した。
一方で宿泊客数は173万8千人にとどまり、前年より6万8千人減った。同課は、昨年は猛暑や地震などの影響で日本人の宿泊旅行が全国的に低調だったことや、日本列島を縦断した台風号の影響で関西国際空港が閉鎖され、外国人旅行者が減少したことが原因と分析している。
市はホテルや旅館の利用客から徴収する「宿泊税」の導入を検討しており、7月から検討懇話会を設置して話し合いを進めている。今月7日の懇話会では、1泊200円の宿泊税を徴収すると仮定した場合、税収は約3億3千万円になるとの試算が出された。
仲川げん市長は「観光のための財源があった方が施策を打ちやすい」と導入に前向きだが、ホテルや旅館関係者からは「宿泊客の減少につながるのでは」と懸念する声も上がっている。仲川市長は「観光への冷や水にならないような仕組みにしたい」としており、今後の動向が注目される。