奈良市、県総合医療センター跡地への児相新設断念
奈良市の仲川げん市長は29日の定例会見で、児童相談所や一時保護所などを備えた「(仮称)子どもセンター」を設置する計画について、県総合医療センター跡地(同市平松)を候補地とする案を断念し、市有地で検討することを明らかにした。
県有地である同センターの跡地活用をめぐっては、平成27年に県と市がまちづくり包括協定を締結した。中核市として全国4例目となる独自の児相設置を目指す市が、昨年10月に跡地を設置候補地として提案。今年4月には児相に発達・子育て支援センターなどを併設し、保護者の悩みを一体的にサポートできる施設とする計画を発表した。
ところが、同時期に県の調査で跡地の土壌汚染が発覚。建物の解体と合わせて対策に約3年かかる見通しで、市は当初予定した令和3年度の開設に間に合わせるため、同センターを他の施設に先行して開発に着手できないか県に提案したが、協議は難航していた。
これに対し県は9月、子どもセンター以外の施設も一括して開発するよう求める要望書を市に提出。また、荒井正吾知事は今月25日の会見で「一部の施設だけ先行すると、費用が増えることになる」と述べていた。
仲川市長は「一括での開発を進めたいという県の意向が示されたので、別の場所を探すという判断になった」と説明。その上で「今年度中に施設の設計を進めたいので、早急に候補地を選定したい」と話した。