東大寺など緊急査察 消防、首里城全焼火災で
2019年11月1日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
那覇市の首里城が全焼した火災を受け、奈良市消防局は31日、世界遺産の東大寺と薬師寺、唐招提寺(いずれも奈良市)で緊急査察を実施し、消火設備や避難経路を点検した。県広域消防組合は金峯山寺(吉野町)で特別査察。県文化財保存課は各市町村に対し、文化財所有者に防火対策の徹底を促すようメールで通知するなど対応に追われた。
東大寺では、奈良中央消防署員と消防団員7人が緊急査察。大仏殿と回廊に設置された屋内消火栓や火災報知機など約30カ所の防火設備を点検し、有事の際の避難経路も確認した。放水銃は屋根に届く十分な水圧があるかどうか実際に放水し、消火栓も含めてチェックした。
東大寺では年に2回、職員が境内にある全ての防火設備を点検し、8月には防火訓練も実施している。
査察を終えた杉本靖真消防司令は「奈良にあるたくさんの世界遺産を守らねばという思いから、緊急で査察を行った。職員の皆さんで守れる態勢があることが確認できた」。東大寺の森本公穣庶務執事は「今年から7年かけて防火・防犯システムを更新する予定。防火訓練の回数を増やし、職員の習熟も図っていく」と話した。