法隆寺壁画のガラス原板公開 奈良博で特別陳列
2019年12月12日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
昭和24年に焼損する前の法隆寺金堂壁画(7世紀末頃)を撮影した写真ガラス原板(重要文化財)が、奈良国立博物館(奈良市)の特別陳列で公開された。文化財の記録と保存への理解を深める機会となりそうだ。来年1月13日まで。
近代以降、文化財の写真撮影に精力が傾けられた軌跡をたどろうと、「重要文化財法隆寺金堂壁画写真ガラス原板|文化財写真の軌跡|」と題し、計41件を展示する。
法隆寺金堂壁画は金堂内部の壁に描かれていた12面から成る。中国・敦煌の壁画などと並ぶ仏教壁画として知られたが、昭和24年1月26日に火災で焼損。33年に重要文化財に指定され、寺の収蔵庫で保存されている。
写真ガラス原板は、昭和年に文部省の国宝保存事業として、363枚に分割して撮影されたもので、今回は阿弥陀如来像など10枚を公開する。また、写真撮影を受注した「便利堂」(京都市)が所有する原板枚のうち8枚が展示されるほか、昭和期の金堂壁画の模写も公開。今秋に高精細デジタル撮影された写真も披露される。
奈良国立博物館の宮崎幹子資料室長は「写真ガラス原板の公開をきっかけに、壁画の価値に対する理解を深めていただければ」と話している。
観覧料金は一般520円、大学生260円。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)。