新品種のイチゴの名は「珠姫(たまひめ)」ブランド化に期待
2019年12月18日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
奈良県産イチゴの代表格「アスカルビー」と「古都華」に次ぐブランド品種として開発された「奈良9号」の名称が、「珠姫」に決まった。大きな果実とさっぱりした甘みが特徴で、県は先行2品種に続く人気ブランドに育てたい考えだ。
名称は6~7月に県ホームページなどで募集。延べ1150人の応募があり、生産・流通関係者らで構成される選考会議を経
選考理由について、農業水産振興課は「果皮に光沢があり、卵のように大きい奈良9号の特徴をとらえた親しみやすい名称として評価された」としている。農林水産省から出願公表を受けた今月12日以降、「珠姫」の名前を使えるようになった。
珠姫は、県農業研究開発センター(桜井市)が約10年かけて完成にこぎ着けた新品種。試行錯誤を経て、昨年から「奈良9号」の仮名で生産者が栽培試験に入った。今年は天理市や奈良市などの生産者37人が取り組んでいる。
アスカルビーは糖度と酸味のバランスが良くてジューシー、古都華は糖度と酸度がともに高く濃厚な味なのに対し、珠姫は酸味が少なく、さっぱりとした甘みが楽しめるという。
県農業研究開発センターの調査(30年度)によると、珠姫の1個あたりの平均重量は33・6㌘。中には㌘を超える大粒もあり、古都華(平均24・5㌘)、アスカルビー(同20・9㌘)に比べて、大きさが際立っている。
同課の担当者は「高級果実店や、レストランやカフェのスイーツとしての利用が多くなるのではないか」と期待している。ただアスカルビーや古都華と比べ収穫量はごく少量で、生産者らは市場の反応をうかがっている状況という。
奈良県のイチゴ作付面積はピーク時の昭和47年には869㌶を誇ったが、大阪のベッドタウン化が急速に進んだことも影響し縮小。面積は当時に比べて、8分の1程度になっている。新品種の投入により、県はイチゴ生産の活性化に期待をしている。