法華寺 名勝庭園 池の護岸修理へ
2020年01月13日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
光明皇后ゆかりの尼門跡寺院として知られる法華寺(奈良市)で、国名勝庭園内にある池の護岸が一部崩落していたことが 分かり、同寺と奈良文化財研究所が発表した。今後、護岸の修理を始める予定で、令和5年度をめどに作業を終える方針。一方、庭園が江戸時代前半に作庭されたとみられることが、保存整備に伴う発掘調査で裏付けられた。
名勝庭園のうち主庭(約2120平方㍍)は客殿の南西に広がり、中央に池を配置している。
今回、池の護岸付近3カ所を調査した結果、石積みの護岸を裏側から支える「裏込め土」にすきまが生じ、護岸が一部崩壊していることが判明。池の水位が上下して浸食が進んだためと考えられるという。
さらに、池の西岸に当たる箇所から江戸時代前半の瓦などが見つかり、庭園はこの時期に作庭されたことが判明。客殿を移築した寛文13(1673)年にほど近い時期に造成されたとする定説が裏付けられたという。
保存整備委員長の小野健吉・和歌山大教授(庭園史)は「歩いて巡るだけでなく、見て楽しめる要素を兼ね備えた江戸時代らしい庭園」と説明。法華寺の樋口教香住職は「庭園をカキツバタがきれいに咲いた元の状態に戻し、客殿からの風情も 楽しんでいただきたい」と話した。