「おいしい十津川」PR 五條の4店舗も仲間入り
平成23年9月の紀伊半島豪雨で被災した十津川村を応援するため、大阪府八尾市の飲食店が始めた「十津川村特産品フェア」に新たに五條市の4店舗が加わった。特産である原木シイタケのおいしさを発信しようと料理人らが腕をふるい、「おいしい十津川」をPRしている。
「十津川のこの空気と水で育った原木シイタケですから、おいしいに決まってますよね」
23日、秘境感たっぷりの十津川村五百瀬にやってきた八尾市の美容師、上垣隆幸さん(55)は楽しそうに語った。同市や大阪市平野区では25~29日、今回で7回目となる特産品フェアを開催。参加店が注文した原木シイタケを仕入れるのが来訪の目的だ。2年前から同フェアに提供している生産者の岡田亥早夫さん(37)は「十津川産品を広く知ってもらえるのがうれしい」と話す。
上垣さんは紀伊半島豪雨の直後から、救援物資を運搬したり、被災者に散髪したりといったボランティアに奔走。村の観光大使でもあり、今年1~2月に上方落語の定席「天満天神繁昌亭」(大阪市)で開催された十津川PR展を仲介するなど支援を続けている。
昭和28年に十津川村で起きた水害で犠牲になった祖父から「『十津川をなんとかせい』と言われた気がする」と、十津川温泉をPRするチラシや観光パンフレットを大阪府内の居酒屋に置いてもらう〝ひとり復興キャンペーン〟も展開。6年前、地元の居酒屋3軒がこれに同調してフェアが始まった。
昨年までは大阪府内の9店舗が参加していたが、五條市で酒店を営む知人の紹介で、江戸時代の町家を改装した人気レストラン「五條 源兵衛」が仲間入り。オーナーで料理長の中谷曉人さん(39)が知り合いの飲食店に参加を呼びかけ、市内の4店舗が今月19~21日、一足先にフェアを開催した。
源兵衛では、原木シイタケを旨煮にし、数種類の香草や卵黄とあえた「十津川原木椎茸のタルタル白鳳卵初産み卵黄を添えて」を創作。プリプリの食感と風味が好評だったという。フェアでは、十津川村の協力施設や村民からの宿泊券や加工品などのプレゼントが13店舗に振り分けられ、盛り上げに一役買っている。
中谷さんは「フェアをきっかけに、原木シイタケの生産者や八尾の料理人との交流が始まった。楽しい連鎖が十津川のPRにつながればうれしい」とさらなる広がりを期待している。