天理市が窓口業務のデジタル化目指す 令和4年3月から運用へ
天理市の並河健市長は、令和4年3月から、市役所の窓口業務をオンラインで行う方針を発表した。マイナンバーカードを持っている市民は市役所に足を運ばなくても、自宅などからインターネットのウェブ上で住民票交付などの申請が行えるようになる。市民の利便性向上だけでなく、市の業務効率化も期待されている。
行政手続きのデジタル化をめぐっては、政府による法整備がなされながらも、ハンコ文化や対面確認など昔ながらの行政特有の慣例もあり、導入の動きは鈍かった。しかし、新型コロナウイルスの感染対策も兼ねて、取り組みを加速させる自治体が増えている。
2日の定例会見で、並河市長は「デジタル化を促すことで、来庁しなくてもいい市役所を目指す。ペーパレス化で紙の印刷コストもかからない。職員の業務の効率化を図り、市民サービスの拡充を目指したい」と話した。
市によると、将来的にマイナンバーカードを持っている市民の場合、ウェブ上で行政手続きの届け出を行うことができるようなシステムを構想。マイナンバーカードを持っていない場合は本人確認のため、最終的に市役所に行く必要はあるが、それまでの申請書作成はウェブ上で行うことができる見込みだという。
転入する場合、現状では記入項目が多岐にわたり、名前や住所を複数の書類に記入する必要があり、市役所での滞在時間も長くなる傾向があった。デジタル化が実現した場合、タブレットで申請書を作成できるため、何度も同じ項目を書く必要がなくなるという。
市は4日に開会した市議会に、窓口業務のデジタル化関連事業費として約1995万円を盛り込んだ2年度一般会計補正予算案を提出した。
開発業者と来年1月からシステム開発を行い、実証実験などを行った上で、4年3月から運用を始める。申請書類が多くの課にまたがる転入や出生などの届け出の窓口業務からはじめ、将来は福祉や税金にかかわる窓口業務へと順次拡大する予定だ。