中古ランドセルを再生、新1年生の家庭にプレゼント
家庭に眠る中古ランドセルを集めて再生し、新小学1年生にプレゼントする「ランドセルバンク」と呼ばれる活動が県内で始まった。中心役を担っているのは奈良市のランドセル店経営、木下修平さん(41)で、「新型コロナウイルス感染の影響で、経済的に厳しくなった家庭にも届けたい」と意気込む。現在、寄付されたランドセルのクリーニング作業などを行っている。
今月8日早朝、奈良市高畑町の飛鳥中学校の生徒たちが、小学生時代に使っていたランドセルを手に登校。校内に設置された寄付の受付のコーナーに持ち寄った。同校OBの木下さんが参加する地域交流会「桜クラブ」の協力を得て、飛鳥中の保護者らに寄付を呼びかけたところ、あわせて個が集まったという。
その後、活動に関心を持つ人からも寄せられ、目標数としていた100個をほぼ達成。現在、木下さんが経営する「ランドセルの木ノ下」(同市古市町)で修理に入っている。
給食袋などをひっかける金具の傷みを確認。背中部分や内側の細かな汚れは、重曹などを配合した洗剤でふき取り、糸のほつれは千枚通しで押し込む。肩ベルトは蒸気をあててまっすぐに矯正。1個をきれいに仕上げるまで30~40分ほどかける。
木下さんは「ランドセルには使っていたお子さんはもとより、家族のさまざまな思いが詰まっている。その物語をランドセルとともに新1年生に思いを引き継いでもらえたら」と話す。
ランドセルは、新品だと数万円の製品も珍しくない。福井県の同業者がランドセルや制服を再利用する活動をしているのを知って、コロナ禍で収入が苦しくなった家庭などに「自分も仕事を通じて、助けになれば」との思いから始めた。
生駒市の主婦、田崎勝代さん(54)は、大学生の長女が使っていたセミオーダーの赤いランドセルを寄付した。「7年前に100歳で亡くなったひいおばあちゃんが贈ってくれたもの。少しでも役に立てればうれしいです」と話した。
ランドセルバンクでは、現在、譲渡を受けたい希望者を募集中。4月に小学校に入学する新1年生のいる家庭が対象で、3月に「ランドセルの木ノ下」の店頭で手渡す。
問い合わせは同店(0742・31・6997、火水は休み)。